インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Black

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2005年公開

出演:アミターブ・バッチャン(サハーイ先生)

   ラーニー・ムカルジー(ミシェル)

字幕:日本語(DVDには日本語字幕は入っていません)

時間:122分 インド版ヘレン・ケラーのお話。

 

あらすじ

シムラーに住むミシェル・マクネリーは2歳で病気にかかり、全盲・全聾となってしまった少女。家族は彼女のことを愛してはいたがもてあまし、彼女はまるで動物のように好き勝手にふるまっていた。

両親はミシェルを施設に入れるかどうするか悩んだ末、一人の教師を雇う。その教師の名はデーブラージ・サハーイであった。

 

いろいろ

最近『きっと、うまくいく』がインド映画らしくないと言われていますが、これこそインド映画らしくない映画です。

まず歌と踊りがありません。近年群舞シーンがない映画もかなり増えてきてはいますが、でもメジャー作品はやっぱり歌が入ってきてその間役者たちはセリフがないシーン(ダイジェストみたいな)を演じていたりします。なんだかんだ言って挿入歌がある点ではまだインド映画らしい演出と言えます。しかしこの『Black』ではそういった歌のみダイジェストのシーンすらありません。ハリウッドメジャー作品のように、BGMが流れるのみです。(もしかしたら歌も流れてたかもしれないけど記憶に残るような存在感がない)

また、舞台であるシムラー(時代背景は英国領時代だそう)もかなり英国風に仕上げてあり、建物や人々もどことなく英国風装いです。役者もアミターブとラーニー以外はインド人と言われなきゃわからないくらいのヨーロッパ風の顔立ち。使っている言語も英語がかなりの部分を占めます(サハーイ先生が教える単語も英語)。

もちろんそれがダメというわけではありません。自分はちょっと実験的だなぁと感じるくらいでした。物足りないとも思いませんでした。サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督(『ミモラ・Hum Dil De Chuke Sanam』『Devdas』)が手掛けているだけあって完成度は高いですしものすごく作り上げられています。アミターブとラーニーの演技もすばらしく、この映画が各賞を総なめにしたのもうなずけます。

 

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 これはインド版ヘレン・ケラーです。設定のみだけでなくエピソードもヘレン・ケラーに沿っています(waterの話とか)。日本人の間でもヘレン・ケラーは有名ですし、そういった点ではインパクトはないかもしれません(自分も小さいころ漫画で何回も読んだし)

劇中一番盛り上がるのはミシェルが大学生になってから。試験に何度も落ちてしまいます。もう自分の先が長くない、いつまでも永遠にミシェルの側にいてやれるわけではないサハーイ先生の焦りも見え隠れします。サハーイ先生、ミシェルの教師になった時点でだいぶ歳がいってそうなのですが、認知症になってしまいます(ネタバレでなく序盤に現在の先生の姿が)。

 

 

主演のアミターブ、ラーニー、そしてミシェルの子供時代の子役がとてもいいです。

アミターブ、強引な所なマイペースな所は他のアミターブ作品でもよく見る気がするのですが、3つの時代(ミシェル子供時代・ミシェル大学生時代・現在)を巧みに演じ分けていました。全部同じ爺さんなんですが、化粧したのかしてないのか顔もだいぶ違った気がしました。

ラーニーはボリウッドの中では特別美人な顔つきでもなければハデでもないですが、演技に関してはオールマイティーな女優さんです。斬新な役柄でも立ち回るのがうまく、今回も全盲・全聾のミシェルを体を張って演じています。

でもとくにすごいのが子供時代ミシェルの子役。もうすごいです。まるで本物のようでした。

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 インド映画、詰め込みすぎてストーリーが破綻、というのはよくありますが、本作は他の要素はかなりそぎ落としてあり(家族愛も時折出てくるし全くないことはない)、先生とミシェルの絆がより丁寧に描かれていました。

特にミシェルのクライマックスのスピーチは涙なしには観れません。

 

リンク

予告編