インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Pithamagan

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2003年公開

出演:ヴィクラム

   スーリヤ

   ライラ

   サンギータ

監督:バーラー

時間:158分

言語:タミル語+日本語字幕

媒体:スクリーン(ムーブ町屋)

 

タミル映画四天王のうちの2人、ヴィクラムとスーリヤが共演した映画。この映画で、ヴィクラムはインドにおける最大規模の映画賞ナショナル・フィルム・アワードの主演男優賞を受賞!南インド版フィルムフェア賞でも6部門受賞したそうです(詳しくはWikipedia参照)。

観たいと思っていたものの、Youtubeでは字幕なし、DVDも入手が難しかったので後回しにしていたところ、ちょうど9月に日本語字幕で鑑賞する機会があったので観てきました(福岡にラフマーンが来日してた時とぶつかり、この上映に合わせて急いで帰京してきましたw)

 

あらすじ

村はずれの墓で生まれた孤児のチッタン(ヴィクラム)。青年に育った頃、父親代わりの男が突然死し、天涯孤独となる。村の人は、墓守の彼を受け入れようとしない。

ゴーマティー(サンギータ)だけは彼を気にかけ、村のマフィアのもとで仕事をすることになる。マフィアに気に入られるチッタンだったが、警察の摘発で捕まり、刑務所に入る。チッタンは刑務所で諍いを起こし、それを同室の詐欺師サクティ(スーリヤ)に助けられる。チッタンはサクティを慕うようになり、チッタンとサクティの間には友情が生まれる。

サクティが先に出所し、マフィアにチッタンを釈放させるように頼む。しばらくしチッタンも出所し、2人とゴーマティー、サクティの2人の仲間、サクティと仲良くなったマンジュ(ライラ)と仲良く過ごすようになる。

しかし、マフィアがサクティを危険視し始め…

 

いろいろ

 

……ヴィクラムさんすげぇぇぇ…っ!!!

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ヴィクラムさんの演技がすごいです!!

いや~、さすがナショナル・フィルム・アワード獲っただけある…!!

 

ヴィクラムさん演じるチッタンは、墓で生まれて墓で育った青年。お母さんはチッタンを産んだ直後に死んでしまい、居合わせた墓守のおじさんに育てられます。

素直に表現できるのは怒りだけで、喋らない・笑わない・泣かないと究極のコミュ障です。全く文化的な側面がなく、オオカミに育てられた少年を想像していただければ、そのまんま正解な感じです。墓守のおじさんは普通に喋る人だったので普通に育てられてはいそうですけどね。

 

ヴィクラムさんといえば『神さまがくれた娘』での知的障がい者役、『Iru Mugan』の1人2役、『I』の特殊メイク姿が私的フィルモグラフィーで、面白い役を好んでやってる演技派スターなイメージです。ヴィクラムさんでもっともよく評判を聞くのは『Sethu』と言う映画で、その中の役名Chiyaanがヴィクラムさんのニックネームにもなってるのだけど、それはまだ観れてないw 

素顔は普通にイケメンなスターなので、その顔と似ても似つかないチッタンがかなり衝撃でした。中途半端に知ってて中途半端に知らない状態で観てるから衝撃だったのかな、とちょっと思いつつ、でも誰が観てもインパクトあるのではなかろうか…。

ちなみに普段↓

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もういちどチッタン↓

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もいちどイケメンな方↓

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(『神さまがくれた娘』『Iru Mugan』『I』もイケメンな方のヴィクラムさん出てくるからまだ脳内で処理できるんですけど、『Pithamagan』はずっとチッタンで、チッタン=ヴィクラムさんの式が処理できない。この結びつかなささは『バルフィ!』のプリヤンカーに近い…)

 

チッタンたった一人になって困って村に来たら、食堂でご飯も食べさせてもらえないくらい忌み嫌われてたので、きっとこの社会の中では底辺に位置するのかなと思います。

そんな中、優しくしてくれた女性ゴーマティーに懐き、その後刑務所で庇ってくれサクティにさらに懐くチッタン。その姿はまるで忠犬のようで、「俺が慕う人に危害を加えるやつ絶対殺すマン」。

2人のやりとりがこれまたいいんですよね~!一緒につるんでる間にチッタンがだんだん人間らしさを得ていくのが感慨深いです。怒り以外の感情を表現できるようになったり、変わらない忠犬っぷりがだんだん可愛く見えてきたり。

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↑左から、サクティ、ゴーマティ、チッタン。チッタンが歯磨きに使ってるのはきっとニームの木。

 

 

ヴィクラム以外の役者さんも良かったです。ヴィクラムの次はライラかなぁ(そこスーリヤでなくw)

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ライラちゃんメチャクソはじけていてこちらも衝撃!

マンジュは普段は可愛いお嬢さん。しかし一度癇癪起こすと大人も手が付けられないレベルに!(チッタンには負けますけど)

何が衝撃って、ライラちゃんは『Unnai Ninaithu』っていう映画のちょっと大人しい感じしか知らなくて、ちょっとかわいいヒロイン女優かと思ってたら、かなりぶっ飛んでて!

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ものすごいわめきちらす!!寝っ転がって暴れる!つかみかかる!啖呵切る!スーリヤ(サクティ)もタジタジ!

あーこの子おもしろい!

俳優さんがイメージと違う姿を見せてくれるところ、好き!

 

もちろんスーリヤも楽しませてもらいました!

サクティ(スーリヤ)はチッタンと真逆で、コミュニケーションに長けた兄さん。長けすぎて詐欺師。コスプレみたいに格好をコロコロ変えながら、あの手この手で詐欺を働いて、まさに口も八丁手も八丁。世渡り上手。口が上手いキャラクターって観てて気持ちがいいから好きなんですよね~w サクティは困ってる人はほっとけない?のか暴れん坊チッタンを恐れることなく助け、それが友情の始まりに。

スーリヤに関しては今と大きくイメージが違わない役。新しい作品から古い作品へと年代を逆行して観賞してることもあって、個人的にはあんまり意外性はなかったです。

ちなみにメモ的な話:聞くところによるとこの年のもう一本『Kaakha Kaakha』と併せて、スーリヤにとって2003年は役者イメージを変えるターニングポイントな年だったそうです。

 

 

 

 

この映画、タミルに時々ある、どことなく暗くてヘビーな雰囲気でした。基本チッタンとサクティの友情を描きつつ、最後は結構衝撃的!しかしこの映画にはそのヘビーさを超えるパワーがありました。それはキャラクターの個性の強さだったり、勢いある展開だったり、掛け合いの面白さだったり、俳優の演技だったり…、そのほか色々なものが融合して全体的にとても力強いんです。ヘビーな映画は相変わらず得意ではないけれど、私はこの映画大好きです。

 

 

リンク

歌~

「Elangaathu Veesudhey」

自転車に乗れないガチガチなチッタンかわいいw

 

「Aruna Runaam」昔の歌でダンス~。カジュアルな服装で踊ってる女性は特別出演のシムラン

 

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