インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Newton/ニュートン

今年の大阪アジアン映画祭、インド映画は昨年現地公開の『Newton』を上映。東からはるばる観に行ってまいりました。

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2017年公開

出演:ラージクマール・ラーオ
   パンカジ・トリパティ
   アンジャリ・パーティル
   ラーグヴィール・ヤーダヴ
   リティカ・バティア

   サンジャイ・ミシュラー

監督:アミット・マスールカル

時間:104分

言語:ヒンディー語+英語字幕+日本語字幕

媒体:スクリーン(第13回大阪アジアン映画祭@シネ・リーブル梅田シネマ4)

 

あらすじ

公務員のニュートンが選挙管理委員として派遣された先は、住民がわずか数十名というチャッティースガル州のジャングルの中の投票所。その地を根城にテロ活動を行う毛沢東派武装集団が選挙の妨害を予告する中、やる気のなさそうな治安部隊や選挙にまったく関心を示さないジャングルの住民を相手に、自由で公正な選挙を遂行すべく、規則どおり四角四面に選挙の手順を踏もうとするニュートンだったが…。

第13回大阪アジアン映画祭作品紹介ページより

 

いろいろ

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インド中部に位置する毛沢東派ゲリラの勢力があるとされるジャングルの中で行われる選挙と、その選挙に関わる選挙管理委員のリーダーである主人公のお話です。

投票の舞台チャッティースガル州のジャングルには、ゴーンディー語を話す先住民が住んでいます。彼らはゲリラとそれを制圧するインド軍の影響を受け、収容エリアで身を寄せあって生活。村から数キロ離れたところに街がありますが、街の人たちは先住民には無関心になっています。

ゴーンディー語、未知の言語が気になっちゃう私は上映後ググってみたら日本語wikiがありました。ドラヴィダ語族の言語で、広範囲ながらもごく少数の人しか使っていないようです。映画の中だとヒンディー語とゴーンディー語が通訳できる人が間に入ってました。

そんな危険な場所に選挙管理委員として派遣されることになったニュートン。ちなみに彼の生まれ名は”ヌータン”でしたが、学生の頃笑われたのをきっかけにニュートンと名乗るようになりました。彼は曲がったことが大嫌いで頑固な性格(本人は誠実だと言っている)。ジャングルの投票所でも筋を通そうとしますが…。

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(リンゴを食べる"ニュートン"くん)

作品の評判は上々で、ベルリン国際映画祭CICAE賞受賞、アカデミー賞インド代表作品にもなりました。私はそれとは関係なしに、ラージクマール・ラーオ出演で何か面白いことが起きそうだったし(彼の出演作は面白いのに当たることが多いので)、ナクサライトや選挙を題材にした異色の作品というところに興味を持ったし、ポスターも意味深で気になったので観たい!と思ってたんですが、一向に英字幕付DVDが発売される気配がなく…。そこに大阪アジアン映画祭上映とのことで、喜び勇んで遠征してきたわけですw

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(シアター入り口でマハラジャくんがお出迎えw)

 

現地公開のタイミングで「そもそも毛沢東派ってなんぞや」って思って色々ググってみたら、結構記事がネットにありました。あるんですね~、初めて知りました。

東インド・ジャールカンド州—“誰からも忘れられた戦争”の村 - BIG ISSUE ONLINE

インドの極左過激派 終わりない反乱

ビハール州,ジャルカンド州,チャッティスガル州,オリッサ州,西ベンガル州などで活動する組織があるようです。(厳密に言うとナクサライト≠毛沢東派だとかなんだとかあるようなんだけどイマイチ分からないからだれか解説してください…)

2013年にチャッティースガル州で議員が襲撃された事件があったみたいで。ちょうど映画の舞台じゃん…というか冒頭で選挙候補者が襲われたのってまさかこれが元ネタ…?(←※憶測です)

そんなこんなで冒頭の冒頭で選挙立候補者がゲリラに襲われ殺されるから、そのあと淡々としたシーンでもずーーーっと僅かに緊張感が走ります。私が極端にビビりなせいもあるけど、いつ何処から銃弾が飛んでくるか、ゲリラが登場して襲われるか気になってドキドキしました。いや~~すごいなこれ。

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(防弾チョッキにヘルメットを着させられ、部隊に囲まれながら投票所へ向かう選挙スタッフ…)

 

物事が淡々と進みながらも、危険と隣り合わせな緊張感、挟み込まれる小さな笑い、人々の都合により動かされ気持ちが空回る虚しさなどなど、飽きさせない要素が詰まっていてなかなか良くできた映画だと思います。実際引き込まれましたし、面白かったです。ミニシアターなら充分劇場公開に見合う内容だと思います。

映画祭ページ解説に書いてある

民主主義国家インドの選挙を描きつつ、本作は次第にコメディーとも風刺とも取れる色合いを深めていく。インドの政治的現状を背景にしているが、これは民主主義が陥りやすい側面を描いた普遍的な物語

のとおり、映画の本質は毛沢東派のそれではなくて、選挙において何が大切か、何が必要か、が伝わってくる内容でした。毛沢東派のそれはそれで全体の土台になっているけど、次第にそれだけではなくなってくる感じです。で、それは何かっていうのをここで書いちゃうとネタバレになっちゃうんだけど、インド映画見慣れた人なら「あるある」って感じで納得できそうなインドの悪い意味で普遍的な要素が入ってるし、選挙的な意味ではインド映画見慣れてなくても理解できる(←状況は違えど日本でもあてはめられる)部分がありました。

むなしいんですよねこの話…なんかすごく頭の中で考えちゃうんですけど、それが現実だよね…って感じもする。現地で暮らす人々と、ゲリラと争い選挙管理委員を護衛する治安維持部隊、それを管理する行政、住む場所は近いけど"外側"の人間である主人公、色々な人の思惑が"選挙"というシステムの中で入り乱れます。傍から見ると"理想"が行われようとしていても、「そうじゃなかった」感があって、それならいっそ全くなかった方が良かったのか…?…って考えさせられました。でもその中でも主人公が"誠実"に行動するところはとても好きです。私にはあんな勇気のいる真似はできないけど。

選挙って日本だと普通のことだけど、場所が変われば普通じゃなくなるし、そんなところで普通のことを一人でやるって難しいことなんだよね…。

 

…ってここまで書いたところで、日本語字幕があって良かったな~と。英語字幕オンリーだったらここまで考えられなかったかもw

 

飄々としたオジさんことサンジャイ・ミシュラーが何気に好きで今回出演してるってことで楽しみにしておりました。特別出演なので短めですが。

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選挙スタッフにレクチャーする選挙指導員。主人公に「君の本質は…」みたいな感じで語りかける人。会って数分で主人公の内面のイタいところ突くんだけどよく分かるなぁwって思いましたw物語が始まる前の人物紹介役のようなポジションですね。

 

 

 

激しくも静かな映画で、飽きさせない内容で面白かったです。大阪アジアン映画祭だけじゃなくて他の地域でも上映してほしいですね。DVDも欲しいし(出るか分からないけど)。お気に入り、そしてオススメです。近くで上映あったらまた観に行きたいなぁ!

 

リンク

ダンスとか役者が歌う曲とかはなかったのでまずは予告編から

 

「Chal Tu Apna Kaam Kar」

 

メイキング~