インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

インド映画『マッキー』に代表される、非ボリウッド映画についてモノ申してみる

『マッキー』公式Twitterアカウントがこういう写真をアップしてたので

いや、おかしいだろ!と記事にすることにしました。

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(写真左上)“ボリウッド”じゃねえから!

 

最近インド映画に興味を持ってきた皆様、ニュース記事でこういう文章を見たことはないでしょうか?

 

インドの映画産業はハリウッドに対抗しボリウッドと呼ばれ、制作本数や観客動員数は世界でもトップ3に入る。

インド映画の制作中心地であるムンバイの俗称。娯楽映画を多く作成していること、また、制作本数・観客動員数ともに世界トップクラスであることから、ムンバイの旧称ボンベイ(Bombay)の頭文字と、米国映画の中心地であるハリウッド(Hollywood)を組み合わせてつけられた。

 

…嘘ではないですが、解説としては間違ってます。

ではどこが?

「ヒンディー語映画」っていうのが抜けています。

 

いちボリウッドファンとして説明するとしたら、こうなります。(※専門というかもっと詳しい方が説明されるともっと付け加えがあるかもしれません)

ボリウッド=インド映画の制作中心地であるムンバイの俗称で、ムンバイの旧称ボンベイとハリウッドを組み合わせて作られた。インド映画の代表であるヒンディー語映画の事を指す。

ヒンディー語について説明します。

インドの主に中部や北部で話されている言語で、インドの憲法では連邦公用語としている。

-wikipediaより

つまり、デリーを中心とした北インドで使われている言語です。

ヒンディー語映画も北インドで中心に上映されています。

 

インドは多言語国家です。私は詳しくは説明できませんが、各地方に各言語があり、その違いは日本の方言以上にあります。北と南では言語の系統が違うため、各地方の人がそのまま母語を話すだけではほぼ話が通じません。

映画も一緒で、日本ほど字幕慣れもない為、各地方での言語で制作された映画が好まれます。それが独自に発達し、言語以外にも人気スターが違ったり、映画の特色も違ったりします。

 

ヒンディー語映画以外にはタミル語、テルグ語映画が有名です。タミル語テルグ語共に南インドで使用されている言語。それぞれ日本で有名な映画は以下の通り

ヒンディー語映画(ボリウッド)=『きっと、うまくいく(3idiots)』『恋する輪廻オーム・シャンティ・オーム』

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タミル語映画(コリウッド)=『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ロボット』

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テルグ語(トリウッド)=『マッキー』

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…もちろんこの三言語以外にもたくさんの言語の映画があります。

 

『ロボット』や『マッキー』に関しては、日本公開時複雑な経緯があったため、説明が少し難しいですが、オリジナルは上記の通りです。

『ロボット』の場合、最初の一般公開時とDVD・Blu-rayはヒンディー語(吹替)です。後々で上映されたノーカット版はタミル語で、そちらがオリジナルです(タミル語版DVD・Blu-ray化はなし)。

『マッキー』は、オリジナル版『Eega』をヒンディー語圏向けに一部編集・吹替にした『Makkhi』が日本にて上映されています。なので、映画内で話している言葉はヒンディー語ですが、元々はテルグ語です。ボリウッド映画ではありません。ここからは個人的な解釈ですが、例えばアメリカ映画を日本用に一部カット&吹替にしても日本映画にならないように、『マッキー』もボリウッドにはならないと考えています。

 

ここまでおわかりでしょうか?

 

つまりは、インド映画と一言で言ってもボリウッドだけにとどまらず、色々な言語があるということです。

これから日本で上映されるインド映画や初めて知った映画は、自分でどこのどういった映画か確認できるまでは迂闊に“ボリウッド”は使えないので、私も一応確認してから使用してます。

インド映画ファンの方はこの辺は上手く使ってる気がするんですが、ネットのニュース記事がすごく危ない。タイトルに“ボリウッド”と使いつつ中身はごちゃまぜだったとか、ラジニカーントの映画のことだった…なんてことも多々あります。

ココとか→再び脚光を浴びるインド映画、ボリウッドブームを支える “強み”に迫る

多分あんまり知識が無い人が書いてるんだなーって感じ。皆さまお気を付け下さい。

 

実は、“ボリウッド”は現地の映画関係者の間では好まれていなかったりします。ハリウッドをもじった言葉であり、二番煎じな雰囲気があるのが理由だそう。

 

※追記※

個人的にはどんどんインド映画が日本で公開されることは歓迎すべきことだと思ってますし、配給してくれる会社には感謝しています。だからといってインド映画を尊重しない扱いが多い昨今の配給スタイルには賛成できません。まだまだ認知度が低いインド映画について、映画を配給すると一緒に解説しようとするところが現れないのは凄く残念です。次につながっていくチャンスなのに。

 

※追記※2013/11/17

①皆さまこの件に関しては思う所があったご様子で、いろいろ話題にしてくださいました。

ツイッターは多いので一つ一つリンクは貼れないですが、ブログはちょこっとご紹介します。

Kanacciさんのブログ

うちのブログ拾って下さってありがとうございます。

こういった記事が多く世に触れることによって、誤解が1つからでも消えたらいいなって思います。

②上記の『マッキー』公式アカウントが記事に気付いたようで、この前解説ツイートをいくつかしていらっしゃいました。「マッキーは元々はEegaっていうテルグ語映画だよ」とか、まぁそのへん。良い傾向だと思いますが、もしファンの声を聞いて言ってるのであれば、ファンに言われてからやるようじゃあねぇ…と思います。どうせやるなら劇場公開開始前とかさ。上から目線でキビしい事を言ってるかもしれませんがそういうもんです。しかもあの“ボリウッド看板”は訂正する気ないみたいだし。