2019年公開
出演：サウビン・シャーヒル
スラージ・ヴェニャーラムード
ケネディ・シルド
監督：ラティーシュ・バーラクリシュナン・ポドゥヴァール
言語：マラヤーラム語+英語字幕
時間：138分
媒体：スクリーン（キネカ大森スクリーン1/インディアンムービーウィーク2020）
原題：Android Kunjappan Version 5.25
あらすじ
村の近くに働き口がないため、日本企業のロシア支社へと出稼ぎに行くことになったスブラマニヤム（サウビン・シャーヒル）。母は既に亡くなっており、年老いた父バースカラ（スラージ・ヴェニャーラムード）を連れて行きたかったが、家を離れようとしない父を置いていかざるを得なかった。すこぶる元気とはいえない上動きたがる父を心配し、父の世話をしてくれるヘルパーを雇おうとするが、父の偏屈な性格が災いしてか、誰も長続きしなかったため、スブラマニヤムは会社で開発中だったお手伝いロボットをヘルパーとして実家に連れてくる。機械が嫌いな父は、はじめは嫌悪感を示すが、やがてロボットを信頼するようになり…。
いろいろ
めちゃめちゃ面白かった！
自然豊かでのどかな田舎に存在する非自然的な物体。違和感の塊。
おそらく長い人生の間でそうなったと思われる頑固な爺さんが見せる融和、
ずうずうしくて率直すぎる村の住人達、
SFとマラヤーラム映画だからこそ成立するブレンドで出来上がった不思議世界が最高でした。
見てよ、ルンギを着るロボットはインドならではだよ…
劇場でも何度か笑いが起きてたなぁ。ツッコミがいたりいなかったりでちょいシュールなコメディでした。
いくら一緒に暮らす家族が多いインドとはいえ、出稼ぎが多いケーララでも独居老人に関しての悩みがあるのよね…。
田舎×最先端技術は現実世界にも存在するプロジェクトだし、他の言語でも作れないことはないけど、
”いつものマラヤーラム映画”感と混ぜ合わされることがなかなか衝撃でした。
私が思ういつものマラヤーラム映画感って、飾らないところなんですよね。
田舎っぽくあれってわけじゃないです。ナチュラルなところ。世間話がざっくばらんすぎて特になんも意味がない会話なのか本筋に関係ある会話なのかわかりにくいくらいナチュラルなところ。力を入れすぎないような佇まい。実際どうかは置いといてそういう演技なんだろうけど、ゆったりした時間が流れてるのが好きです。
ロボットがどうしても中に人間が入ってると思わせる動きだったのがおもしろいです。狙ったのか予算的な限界か意図してないものか…？
中の人は小人症の俳優スーラジ・テーラッカード
ロボットっぽい動きだけど人が居るっぽさを感じる動きが可愛いです。
ロボットと人の関係になるとやはり焦点になるのは心を通わせられるかとか、人間の代わりになり得るのかとか、ロボットが危害を与えてしまわないかだとか、本作もテーマ自体は定番なものだったので目新しさはなかったですが、描き方が本当に性に合ってたのかな、全然飽きずに観れました。
頑固なのか偏屈なのか周囲にとって扱い辛いおじいちゃんが、人間らしいコミュニケーションが完璧とは言えないロボットと交流するってのも良かったなぁ。ツンデレじじい…。
ケーララ人と日本人のハーフでロシア育ちっていうレアな生い立ちの女の子が出てきます。
ケネディ・シルドって人がやってます。日本人がやってないのに黙ってたら日本人に見える！けっこう再現度高いな…。てかハーフで南インド人風味が感じられない顔をしている。
父子で交わされる日本について全然褒めてない内容の台詞があって、こっちでの上映を微塵も念頭に置いてないだろうと思われる媚びてない感じがよかったです。なんか観てはいけないものを観てる感覚がしてニヤニヤしてしまったw 逆にうらやましい国と言ってるシーンもあったから、すごいけなしてやろう・持ち上げようっていう意識がなくて日本人として余計な感情を持たずに済んだのが良かったかな。
ちなみにあまり多くを語らない、説明しない映画なので、情景で読み取る部分があります。語らずに語る、みたいな。
私は最後の解釈に迷ったので、国語の問題で出されたら正解する自信は全くないです。まあそれもこの映画の味かな。
今まで観たマラヤーラム映画の中でトップレベルに面白い映画でした。オススメ！
リンク
予告～ SF映画ってよりマラヤーラム映画って感じなんだよなぁ。
「Shilayude」
「Ormapoove」恋するじじい
おまけ
「ネタバレ禁止！」
