インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

追悼 スシャント・シン・ラージプート

主にボリウッド映画界で活動していた、スシャント・シン・ラージプートが亡くなりました。

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自死とみられています。6月14日の夕方にニュースが流れてきました。

以前からうつを患っていたそうなんですが、遺書は今のところ見つからず、直接的な原因は明らかになっていません。上のニュースも「元マネジャーがムンバイで転落死」とに書いてますが、それが関連しているかは一切わかりません。原因がわからないが故に憶測を呼び、やり場のない気持ちからか暴走するファンや業界人もいます。

正直原因がわかっていない以上憶測であれこれ批判を持ち上げることはよくないと思うので、私はネット上で持ち上がってる主張がなんであれそこに言及するつもりはありません。(でも将来自分が読み返した時用に記録だけしてたい)

今年に入ってイルファーン、リシ・カプールと有名俳優が相次いで亡くなり、さらに彼も後に続いてしまいました。今年のボリウッド界は辛いニュースが多いです。

 

個人的には、無邪気な笑顔がとても好きで以前から応援していた俳優の一人だったので、こんな悲しいことが起きてしまったことが正直信じられないし、まだ気持ちの整理がつきません。このページを書こうとしてますが、なかなか辛いです。もうすでに遺灰はガンジス川に還っているんですが、もうこの世界に彼がいないということが受け入れられません。なんでこんなことになってしまったんだろうという気持ちが大きいです。

彼の話をするときに、すべてが過去形になってしまうのがものすごく悲しい。現地で道外れた騒ぎになっているのも、日本でめっちゃ淡々としたコメントがされているのも少し辛いです。

これから役者としてまだまだ脂が乗るであろう34歳という若さでした。出演作品の中で老けメイクをしたとき、将来歳を取ったときこういう姿で映画出てくるのかな~なんて想像したこともありました。彼のこれからをまだまだ観たかったです。

 

もともと、以前に書いた紹介記事を更新する予定でした。

以前は『pk ピーケイ』に合わせて急ぎで書いたので、更新は『きっと、またあえる』の公開にあわせてブラッシュアップするつもりでした。でも全作品観てから~とかいろいろ優先順位を付けている間に遅くなってしまいました。早くやればいいのにねぇ。

そういうわけで、彼の冥福を祈るとともに、2020年8月21日に日本で公開の『きっと、またあえる』に合わせて彼の紹介をしたいと思います。

 

ちなみに一番最初に紹介したのはこの時。懐かしい記事だ…

(なんでか、ランヴィールに顔が似てるって言ってるね…いま全然そんなこと思ってないけどw)

 

プロフィール

スシャント・シン・ラージプート(スシャーント・シン・ラージプート)

Sushant Singh Rajput

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1986年1月21日うまれ。

出身はビハール州の州都パトナ。

超どうでもいい話ですが私のほぼ丸1年先輩

学業優秀で、工科大学生だった頃にダンスを学び始めます。ダンスは演技活動より先にだったそうです。ダンスの方では海外に飛んだりステージのバックダンサーとしての出演したりもあったそうです。ダンスのあと演技にも興味が出始め、それからは大学を中退して俳優の道に。

名の出る俳優としてのスタートはドラマ「Kis Desh Mein Hai Meraa Dil」から。その後ダンス番組への出演を経て『Kai Po Che!』でデビューします。デビューで共演したのはアミト・サードやラージクマール・ラーオ(旧芸名ラージ・クマール・ヤーダヴ)。

映画デビューは2013年だったので、2020年までとして7年くらい。演技キャリアはドラマデビューから計算したら12年程度。キャリアとしては長いわけではないです。最近まで年1本ペースだったので作品もそこまで多くありません。ある意味これからでも追いかけやすい俳優ですね。

 

出演映画

2020年6月時点での公開済みは10作品。(カメオ出演を除く)少ない出演本数ながらも才能に満ちた俳優でした。

この記事に合わせてレビュー書き損ねてたやつ全部書いてきました。私にできるのはそれくらいだよ…。

 

本人をリアルタイムで推すことはできないけど、DVDが手に入ったり配信されてたりで映画が観られるうちはまだ遅くない。興味があったら観てみてね。

DVDは出ているものインド・日本合わせてこちらの6作品。もし『きっと、またあえる』の日本語版が出たら7作品になります。

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Kai Po Che!

第8回大阪アジアン映画祭で上映されました。見逃したのでDVDで鑑賞。

悪戯も許してもらえそうなちょっといたずらっ子な役が似合ってるなぁと思ったのでした。

 

Shuddh Desi Romance

初めて観たやつどれか忘れちゃったんだけど、たぶんこれ。当時の私には台詞が多くて難しかったんだけど、ダンスシーンはめっちゃ好きです。ビジュアルが全体的にピンクで"可愛いインド"って感じ。お話は可愛いに納まらずちょっと癖ありますw

 

pk ピーケイ

出演作の中では一番大型かな。脇役出演で出番が多いって程ではないですが、時間のわりに強く印象に残る役でした。スシャント君が演じてきた中で私が一番好きなのがこの役。

 

Detective Byomkesh Bakshy!

インドではまだ少ない探偵モノ。スシャント君は4本目で現代劇以外にもチャレンジです。

 

M.S. Dhoni: The Untold Story

公開当時は知識が追い付かなさすぎて撃沈してしまったんだけど、今観たらどう見えるんだろう。スシャント君の訃報に反応して「この映画が好きだった」と言っているインド人を多く見かけました。スシャント君の代表作ですね。一番のヒット作だった気がします。IFFJ2017上映作品。

 

Raabta

インドの十八番、輪廻をキーにしたラブファンタジー。スシャント君は一人二役です。現代パートのスシャント君はめちゃめちゃ可愛かった。『きっと、またあえる』セクサ役のヴァルン・シャルマーが共演しています。

 

ここの間で『Welcome to New York』に本人役で出演。ゲストが超豪華だからお祭りっぽい映画なんですが公開後は沙汰無しでDVDも配信もなし。観られるか絶望的かな…

 

Kedarnath

ムスリムとヒンドゥーの異教徒同士の恋愛を描いた物語。スシャント君は荷運びを生業にするムスリムの青年を演じています。実際にあった災害を基にしていて切ないお話です。

 

Sonchiriya

出演作の中で一番泥臭い映画かも。インドの武装強盗団=ダコイトの役です。綺麗なスシャント君はいない。生死がかかったハードボイルドなお話でした。

 

きっと、またあえる

コロナで延期されてましたが、日本で公開。スシャント君主演としては初めての日本での劇場公開です。それ以外の主演作は映画祭まで。あとインドにおいての劇場公開としてはこれが最後のかな…。

 

ドライヴ

生きている間の最後のリリースはこれ。ただ劇場公開にはならなかったので、Netflix配信限定です。Netflix会員であれば日本語字幕付きで観られます。インドについて予備知識がなくても観られる筆頭かな。

 

2020年6月時点で公開が残っている作品として

『きっと、星のせいじゃない。』のリメイク『Dil Bechara』があります。これがスシャント君の遺作になりそうです。

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コロナの影響で公開が延期されてしまったので、Hotstar配信でのリリースになるそうです。日本からでも何かの機会で観ることが叶えばな~とは思ってますが、難しいかな。Hotstarはインドの電話番号を持ってないと会員登録ができないので、Hotstar VIP配信となるとかなり鑑賞が難しくなります。時期が経つとVIP配信じゃなくなって非会員でも観れるんですが…全部が全部VIP外れるかというとそうでもないし、プレミア公開となると余計VIP外れないのでは…っていう憶測。なんか会員でも非会員でも観られるようにするって発表ありましたやったー!配信開始まで本当に観られるかわかんないけどめっちゃ期待してる!!

訃報を受けて劇場公開の声が現地ファンの間で大きくなってましたが(本作の音楽監督A.R.ラフマーンも言及)、なにぶんコロナがまだインドで猛威をふるっているので叶うかどうか…。

2020/08/23更新:観ました

 

トリビュートとしてスシャント君映画のサントラ集が出てます。映画ごとに権利が違うので、それぞれ持ってる曲のでまとまってます。

一例:Zee Musicの

 

踊りの腕前

ダンスの名手ランキングに挙げられることはないですが、大型イベントでステージパフォーマンスを披露するくらいの実力はありました。

ちなみにTV番組名「Jhalak Dikhhla Jaa 4」や「Zara Nachke Dikha」で検索すると映画デビュー前のダンスが観れます。

 

映画の中だとこんなかんじね

『Shuddh Desi Romance』

『Raabta』

『きっと、またあえる』でも踊ってるから、大画面で楽しめるよ~

全部貼るわけにはいかないのでこの辺にしておきます。

これ以外にも楽しい曲やしっとりとした曲いっぱいあるのでぜひ探してみてください。

 

 

おわりに

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今回この記事を書くにあたり残っていた映画を鑑賞したり書き損ねていたレビューを書きました。ニュース直後はサントラを聴くのも辛かったですが、やってるうちに、彼に会いたくなったら映画を観よう、って思うようになりました。直接会うことはないけど、画面の向こうでなら彼の笑顔や生き生きとした姿にいつでも会える。今は辛いことが大きいけど、いつかこの気持ちが軽くなった時、また映画や動画で元気をもらいたいと思います。

 

これからでも『きっと、またあえる』やほかの作品をきっかけにスシャント君に興味を持った時に色々な映像を観てくれたら、スシャント君も喜んでくれそうな気がする。

 

 

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辛い辛いと吐くように書いてしまったけど、スシャントくんとご家族が一番辛いだろうな。


スシャント君、今まで楽しい時間をくれてありがとう。どうか安らかにお眠りください。