2021年公開
出演:アビシェーク・バッチャン
チトラーンガダー・シン
バーヌ・ウダイ
監督:ディヤー・アナプルマ・ゴーシュ
言語:ヒンディー語+英語字幕
時間:131分
媒体:ネット配信(ZEE5)
※今回は取り扱う映画の特性から『女神は二度微笑む』のやんわりとしたネタバレを含みます。まだご覧になっていない方は鑑賞してからをおすすめします。
あらすじ
コルカタでは今、新しい麻薬「ブルー」が流行していた。特に寝ずにいられるという効能が試験を控えた学生に拡がるきっかけとなり、問題となっていた。
8年の入院を終え退院したボブ・ビジュワース(アビシェーク・バッチャン)。彼は過去に遭った大きな事故のせいで、以前の記憶が完全に抜け落ちていた。病院に迎えに来た妻マリー(チトラーンガダー・シン)や家族すら思い出せない状況だったが、医者はいつか記憶を取り戻せると彼を送り出す。
ボブは見覚えのない家に戸惑いながらも、以前働いていたらしい生命保険代理店での仕事も再開し、穏やかな日常を受け入れていく。しかしある日、2人組の男に連れられて行った先で、「お前は以前殺し屋だった。仕事を再開してもらう」と告げられる。
一方で、ボブには妻の前夫との子である娘ミミ(サマーラー・ディジョーリー)がいた。彼女は、試験へのプレッシャーから家族に隠れて「ブルー」の服用を始めてしまっていて──。
いろいろ
『女神は二度微笑む』のスピンオフ作品です。
登場するキャラクターは、『女神〜』で異様な雰囲気をまとったおじさん殺し屋。中盤で主人公側に退場させられますが、ストーリーのなかでは中ボスかつある意味一番の脅威でもあり、観客になかなかの印象を植え付けていました。
今回はおそらくその後日譚。たまに前日譚か?って迷うところもあったんですが、汲み取れてるところが正しければあの事故(事件…)以降の話だと思います。死んだかに思われたボブですが、『女神〜』では確かに死んだ"姿"は明確に見せておらず、「映画ではっきり死ぬシーンが描かれていない場合は死んでない可能性大」的な法則(個人的に思ってる)が成立することになります。九死に一生を得たんですかね。8年も入院して一人でしっかり動けるようになってたので、リハビリもかなり頑張ってそうですね。※前日譚か後日譚かについては、私より映画に詳しい人が前日譚と断定してることもあり、混乱してます(笑) 前日譚だとしたら一つ矛盾点がある。マジでどっちなんだ。
『女神~』とはストーリー上の深い繋がりはなく、スピンオフとして一般的に想像するようなこれ一つで独立したストーリーではありますが、『女神~』を観てボブのキャラクターを理解しておくと10倍面白いかと思います。
本作でボブを演じるのはアビシェーク・バッチャン。前作のチャテルジー氏から交代なのは大人の事情……??
個人的には変身する役者大好きマンなので、アビシェークがここまで姿変えてきたのは嬉しかったです。ある意味ここで満足(笑)もともと普段から若干もさっとしたキャラだと観てましたが、ボブの姿と比べるとかなりシュッとしてたんだなーって思い直しました。
↓シュっとしてる方(『Manmarziyaan』)
アビシェーク・バッチャンがやると…頭一つでかい(笑)。アビ氏190センチくらいあるけぇな…。
監督は『女神~』のスジョイ・ゴーシュ監督の娘さんです。
主軸は、モラル皆無の殺し屋世界にまっさらな状態で再び放り込まれた主人公が、改めて道徳的なジレンマに追い込まれていくところ。殺し屋が出てくる映画の楽しいところと、モラルに悩み苦しむところが両立していて、オリジナリティあるストーリーになっていて面白かったです。ボブが殺し屋になるまでの生い立ちは分かりませんが、記憶を失ったことで彼がこの世界を客観的に見直すことができた点、これは上手いなぁ。しかしまあ…中盤からなかなかヘビーな展開があって、闇が深かった。「ブルー」の存在がボブにモラルを考えさせる鍵であることは間違いないんですが、それ以外にもあります。
コルカタにはボブと繋がりのある殺し屋社会が存在していて、その柱となっているのがとある薬局の爺さん。ここがこう…すごくいい。ここにはここにだけ通用する"ルール"があり、モラルの存在しない世界の中でも守られている。”殺し屋の美学”みたいなの好き~。フィクションであるのが前提ですけどw
ボブに殺人の依頼をするのは『女神~』でも結局なんやようわからん指示系統だったところ、今回も微妙になんやようわからん組織でした。いや途中でわかるんだけど、最後は結局闇の中…みたいな。知らん方が陰謀っぽくていいですね。
珍しく中華系インド人が出てきました(珍しいけど今まで0ではない)。これはコルカタ方面に中華街があるからか?って思いましたけど、でも今はだいぶ廃れてしまったようだった気がする。コルカタの中華街については調べたら出てくるはず。
残念なところを敢えて書くと、十字KILLがなかったことですかね~w
記憶無くしてるから仕方ないかな~と思う一方、銃の扱いや「こんにちは 少々お待ちを」っていう挨拶は記憶を無くしていても体が覚えていたり変わらないアイデンティティとして残っていたりしたので、無意識レベルとかで入れてほしかったw
スピンオフとしても面白いし、単純に殺し屋の話としても面白かったです。特に『女神は二度微笑む』を観てあのおじさんが気になった人にはオススメ。
リンク
予告
踊りません。踊ったらキャラが崩れるw
「Tu Toh Gaya Re」
「Mujhe Mujhse Kaun Bachayega」