インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Kaagaz(紙)

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2021年公開

出演:パンカジ・トリパーティー

   モーナル・グッジャル

   サティーシュ・コウシク

監督:サティーシュ・コウシク

言語:ヒンディー語+英語字幕

時間:109分

媒体:Zee5

 

あらすじ

UP州アーザムガルにあるアミロー村で、結婚式のバンド業を営むバーラト・ラール(パンカジ・トリパーティー)。事業拡大を勧められ乗り気になった彼は融資を申し込むが、資産証明に必要な書類を役所に取りに行った際、あろうことか自分が書面上で既に死亡として処理されていることが発覚する。実はカリーラーバードにありバーラトの資産である土地に暮らす叔母たちが、土地を自分たちのものにするためバーラトを死者に仕立て上げ、遺産として乗っ取っていたのだった。叔母たちに抗議に行くバーラトだったが、謝罪されるどころか書類上すでに死んでいるバーラトを殺しても罪にはならないと脅しを受け、一方的に縁も切られてしまう。

彼は死亡の記録を撤回しようとするが、役所も一切取り合ってくれなかった。大臣たちに手紙を送ったり、裁判に持ち掛けたりするものの、一向に彼の願いが聞き入れられることはなく…。

 

いろいろ

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実際にインドで起きた出来事をもとにした伝記もの。

主人公も実在する人物がモデルとなっていて、ご本人の名前はラール・ビハーリーさん(Lal Bihari)。ご存命で、映画にもちょっと出てきます。wikipediaもあった

いや~~こういうことって現実にあるんですね!融通の利かない役所の話は幾度となくネタになるけど、ここまでのことがあるとは!書類の故意による間違いを撤回するのに、1975年から1994年まで(映画だと1977年くらいから)実に19年もの月日を費やさないといけないというのがなんとも…筆舌に尽くし難い…。立派な人権問題なんだが…。これが伝記ものじゃなければ「こんなことありえな~い」って思ってしまうよ絶対。細かいところは脚色があるにしても、大まかにはリアルな話だと思います。もう大まかなところからしてびっくりなやつです。

日本で同じこと起きたらどうなるんだろう~~もうちょっとマシであってほしいけども…手続きに時間かかってもせめて1年以内でお願いしたい。あと遺産狙って故意でやった人は逮捕してください。詐欺罪とか。ちなみにルーマニアで音信不通だったせいで死亡届出されちゃった人は、取り消し期限が過ぎてたということで撤回が認められず死人として生きているらしいです。というニュースを見た。かなしみ。

 

主演はパンカジ・トリパーティー。悪役も良い役もやる大好きなおじさん俳優です。今回は温和で何の肩書もない小市民。大きなトラブルがなければ村で平和に過ごしてそうな人。パンカジおじさんはヤクザ役だったとしてもパパ役だったとしても飄々としてるかあまり感情を見せないタイプが多くて、今回も基本的に柔らかくて起伏の少ないキャラクターでした。ちょっと天然もあるかも。癒されました~。

監督のサティーシュ・コウシクはナレーションと弁護士役をやっています。ってかこのオジサン監督やってたんだね!知らずに観たことあるやつあったわ!

 

コメディタッチでとっつきやすいです。一方でマジなところはマジです。

おもしろエピソードの一つは、公式の書面に名前が載れば事態が好転するのを見込んで、自ら犯罪を犯し逮捕されようとする主人公。家の前をパトカーが走れば喜んで駆け寄るもののパトカーは素通り、自ら警察署に自首するものの賄賂を渡しても逮捕されず、後日来いと言われた当日になったら奥さんと「今日は逮捕されますように」と祈るという…。これリアルだとマジなんだろうけど、このシーンのノリが軽かったからわりと爆笑してしまいましたw

笑いながらもあまりにも理不尽な苦難に胸を締め付けられるという、ちょっと情緒が忙しい。

 

色々と興味深いところが多くて、インドで暮らさない以上必要ない情報だとは思いますが、勉強になりました。

主人公がざっくり言うと被害者の会みたいなのを結成します。これはリアルでもあるらしいです。現実に主人公以外にもこういう書類上の故意の不手際の被害に遭った人達がいて、そして社会的に「死者」なだけではなく本当に殺される可能性もある人達も含まれるという…。物騒過ぎる…。そんな人たちをメインに選挙に出たときのシンボルが、ガイコツでした。なかなか強烈だわ。

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タイトルはまんま「紙」という意味です。主にはきっと主人公が死亡と記されている役所書類のことだと思いますが、1977年~のまだインターネットなどのインフラが普及する前の時代の話なので、色々な形で「紙」が出てきます。主人公が大臣たちに送る手紙や、選挙活動のときのポスターや、自分の主張を書いたビラなど。時代を考えれば当たり前ですが、スマホは全然出てきません。今ならきっとYoutubeやメールで済ませてしまうようなものばかりなので、ここに味わいがありました。今やごく少数になってしまった代筆屋さんなども。タイプライターでお手紙打ってました。

 

レアと言えばレアなお話で、それに役所とか政治とかも絡むのでちょっと聞きなれない英語字幕でした。ぶっちゃけわからない台詞もところどころありましたが、〇〇のことで喋ってんだろうな~みたいなざっくりな受け止めでなんとかなりました。インドの偉人ではなく普通の一般市民が自らの力と周囲の支えで努力し訴え続けたお話、かなり胸アツなのでオススメです!

 

リンク

「Bailgadi」おしどり夫婦

 

「Jug Jug Jiyo」

 

「Laalam Laal 」

ド・ローカルな映画で定番のこんなシーンなんだかんだ嫌いじゃない