インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

デーヴダース(Devdas)

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2002年公開

出演:シャー・ルク・カーン

   アイシュワリヤー・ラーイ

   マードゥリー・ディークシト

   ジャッキー・シュロフ

   キロン・ケール

監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー

言語:ヒンディー語+日本語字幕

時間:183分

媒体:ネット配信(Jaiho)

 

あらすじ

時は1900年代──

デーヴダース・ムカルジー(シャー・ルク・カーン)がイギリス留学から帰国することになった。幼馴染のパーローことパールヴァティー・チャクラボルティー(アイシュワリヤー・ラーイ)は、10年もの長い年月待ち焦がれたこの時に胸躍らせる。

幼い時の2人の友情は、大人の2人にとっては愛以外の何物でもなかった。2人は周囲の目を盗み、逢瀬を重ねる。慕いあう2人の関係を好意的に見守っていたパーローの母スミトラー(キロン・ケール)は2人の結婚を夢に見るが、デーヴダースの母カウシャリヤー・ムカルジー(スミター・ジャイカル)はそうは思っていなかった。ムカルジー家は格式の高い地主(ザミンダール)であったが、チャクラボルティー家は嫁入りしたスミトラーが元旅芸人であったことが家名を汚したと捉えられていた。

カウシャリヤーは長男の嫁クムド(アナンヤー・カレー)が妊娠したお祝いを行う。その場に呼ばれたスミトラーは2人の結婚話を進めようとするが、カウシャリヤーは代わりに踊りをリクエストする。そしてその場でスミトラーを娼婦のように扱い、彼女に恥をかかせる。これが、デーヴダースとパーローの悲劇への始まりとなるが…。

 

いろいろ

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10年以上前にDVDで観ていたんですが、だいたいのストーリーは把握できたものの英語字幕という大きな壁でこの映画のエモい部分を全然理解できてないなと思っていたので、レビューは後回しにしていました。婉曲的だったり詩的だったりする台詞が多いのと、現代劇ではないのが余計難しいよね。いや~日本語字幕配信かなりありがたい。ちなみに2012年あたりにIFFJで上映がありましたが見逃しております。

 

相変わらずどのシーンひとつも隙がない映像と、全方面に向けて美しすぎるアイシュ様のおかげでしょっちゅううっかり字幕を見逃しそうになって大変でしたが…いや~、台詞が理解できたおかげで解像度爆上がりでしたわ!以前とくらべて200倍くらいには!

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自らを月のように例えるパーローだけどそれがぜんぜんしらける感じじゃない美しさ、なんなん…??

🧑「月でもそんなにうぬぼれない」
👩「月にはアザがあるもの」

 

歴代『Devdas』の中でも最高にお金をかけて作られた豪華絢爛な舞台セット、一流のコレオグラファーたちによってつくられたヒットダンスの数々、指の先まで徹底して美しい隙のない演出。それらが合わさった本作は、公開から20年経過しても見劣りしないという驚異の完成度。

存在がファンタジーなんよ…。

アイシュワリヤーもマードゥリーも、気品にあふれた存在で、高嶺の花とか手の届かないとかいう表現を超えた”格の違い”を見せられてると思った。演技でカバーできる範囲じゃないところの何かが違う!サイクル的には新・デーヴダースが作られてもおかしくないけど、このバンサーリーの世界観にはアイシュワリヤー版パーローもマードゥリー版チャンドラムキも「今活躍中の人で撮るなら」の想像ができない!(注:エルザはアイシュワリヤー狂信者です)

 

『デーヴダース』についてはインド現地公開後からかなり色々資料が出ているので今更ここで紹介しなくても大丈夫かと思うけど、ざっくり概要だけ。

1917年に出版された同名ベンガル語小説が原作。著者はシャラトチャンドラ・チャテルジー。1928年に最初の映画が公開されてから、幾度となく映像化が繰り返され、基本のストーリーはインド中に浸透しています。発行当時は現代恋愛劇だったのが、年数が経って時代モノになってます。

ベンガル語圏・ヒンディー語圏にとどまらず南インドでも映画化されているので、個人的にはインド神話と同じくらい必修科目なイメージ。例えばなんかの映画のセリフで「デーヴダースみたい~」って出てきたら、それは「失恋に浸って自暴自棄になってる男」とか「恋に溺れて人生を無駄にしてる」「ウジウジしてる」とかいうニュアンスになります。日本語字幕だとサラっとシンプルなセリフに替えられるだろうけど、英語字幕だと知らないと分かりにくい。

大筋はそもそもインドに浸透しているストーリーなので、そこからの改変部分や演出を楽しむ方がメインになります。なので解説によってはけっこう結末まで書いてありますが、それを読んでいてもなんら支障はないパターンの映画。制作側は少なくとも悲劇であることは知ったうえで観ることが想定されてるはず。

 

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芸術品を楽しむ感覚でも、美しさにため息をつきながらでも、是非観ていただきたい映画です。今後色々インド映画観ていきたい人にも、インド文化知りたい人にとっても必見。特に残り少なくなった配信期間のうちに、急いで高画質&日本語字幕セットでどうぞってやつです。てか今からでも普通に劇場公開とか毎年大晦日TV放送とか4Kブルーレイ豪華BOX版とか出してほしいぜ!

 

リンク

Jaiho配信ページ(解説文つき)

 

予告編

 

以前は公式ソングシーンあったのに軒並み消えているのはなんでだ…

ベストアイシュワリヤーシーンどうぞ