2016年公開
出演:R.マーダヴァン
リティカ・シン
ナーサル
監督:スダー・コーングラー
時間:111分
言語:タミル語+日本語字幕(英語字幕あり)
媒体:スクリーン(東京国際映画祭@TOHOシネマズ六本木ヒルズスクリーン2)
第29回東京国際映画祭”ワールド・フォーカス”部門で上映された、タミル映画です。
10/31と11/1の上映とQ&Aに行ってきたので、感想そこそこにレポートします。
東京国際映画祭のページより、映画について
あらすじ
プラブは女子ボクシングのコーチとして成功をおさめていたが、持ち前の傲慢さが災いして協会と揉めて失墜してしまう。そんなとき17歳の魚売りの少女マディと出会い、その才能にひかれるが、彼女はボクシングに興味がない。ふたりはタッグを組んでいけるのか…。
作品解説
日本でもヒットした『きっと、うまくいく』に主演したマーダヴァンが、本作ではプラブ役で主演してプロデューサーも兼ねているほか、今回上映するタミル語版のほかにヒンディー語版も存在し、『きっと、うまくいく』『PK』のラージクマール・ヒラニ監督がプロデューサーを務めている。新鋭女性監督スダー・コーングラーは巨匠マニラトナム(『OKダーリン』)の愛弟子。マディ役のリティカー・シンは実際のキックボクサーである。
感想
感想を書こうかな、と思ったんですが、カーヴェリ川長治さんの記事が私的にすごくしっくりきたので、貼っておきます。
私がこの映画で特に印象に残ってるのは、
監督が女性であること、女性監督=社会派な作品が多いイメージなんですが、『ファイナル・ラウンド』に関してはエンターテイメントとして作られていること、ですかね~。いや、徹底したエンターテイメント映画を撮る女性監督がいるのは重々承知してますが、イメージとしてね。
あとは、前半で会話してたことが、後半に主人公に対しての教訓として出てくるのがすごく気分を持ちあげてくれました。
スポーツものとして、出会いや成長、挫折と王道の路線を行きつつも、スポーツ映画だけに留まらないいくつものテーマが盛り込んであって、人間ドラマとしてもすごくソウルフルな映画だと思います。
今回上映されたタミル語版『Irudhi Suttru』のDVDは出てるかわかりませんが、ヒンディー語版『Saala Khadoos』は出ているので、映画祭で観れない!って方は是非DVDでチェックしてみてください。
『ファイナル・ラウンド』のタイトルは、タミル語版タイトルに沿ったもののようです。ヒンディー語版『Saala Khadoos』は全く違う意味だそうです。
イベントレポ Q&A
10/31と11/1の上映後、主演R.マーダヴァンとプロデューサーシャシカーント・シヴァージーをゲストに迎えたセッションがありました。
写真撮影OKだったので、写真盛り盛り気味にレポートします。
(動画や録音はしてなかったので、記憶とメモを頼りにかなり省略した内容になります。ご了承ください。あぁ~この時はブログまで書くつもりでなくて…録音しておけばよかった…。)
10/31のQ&A
マーダヴァン(以下マ):今日はありがとう。学生の時交換留学生で来日した以来の日本です。僕は留学時から日本を敬愛しています。マレーシア航空はいつも僕の荷物を無くすんだけど、今日もロストバゲージしたのでこんな格好でごめんなさい(ちょいラフな格好)。
Q:製作に4年かかったと先ほどおっしゃっていましたが、何にそんなにかかったのですか?
マ: プロデューサーを見つけるのに3年かかりました。(他にも言ってた気がするけど記憶から抜け落ちる)
Q:映画に「実話をもとにしている」と載っていましたが
マ:製作するにあたり、かなりのリサーチをしました。権力者(ここではボクシング協会の偉い人)が女性選手に手を出すという事も事実を基にしています。
Q:(何の質問だったかわすれました。会話の流れででた質問かな)
マ:この映画はタミル語です。吹替えでなく、ヒンディー語とタミル語で2回撮影しています。メインの役者以外はそれぞれ違います。
Q:タミルとヒンディーの映画を作る上で違いはありますか?
マ:大きな違いはありません。ですがヒンディーの方がマーケットとして大きいです。
Q:ヒロインがコーチに、師弟愛でなく恋心を抱くのは何故ですか?
マ:この映画は田舎の漁村を舞台にしています。ヒロインが育ったこのような環境では、女性は差別の対象で、丁寧に扱ってくれる人はいません。ヒロインにとって、コーチは初めて接した誠実な人物。ですので、ヒロインがコーチに憧れるのは自然なことをして描きました。女性ボクサーがコーチを好きになるということも実際あったことを基にしています。
コーチがヒロインに対し恋愛感情を持たないのは、親子ほど歳が離れていることと公私を分けているからです(←この辺うろ覚え…)。
私も教鞭に立った時生徒に言われることがありますが、妻帯者であること、また先生と生徒であることはしっかり伝えます。とはいえ、僕自身はロマンチストです(笑顔)。
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役者だけでなく、プロデュースや脚本もこなすマーダヴァン、実は脚本を書くのはヒンディーはできるけどタミルじゃ難しくてできないんだ~なんて言ってた気がします。タミル系なのに、北インドや他の地方で暮らしてたからですかね~~??タミルどっぷりだと思ってたのですごく意外!
マーダヴァンのプロフィールについては、むんむんさんが書いてくださってるこちらを貼っておきます。
・女性監督についての話題になり
プロデューサー&マーダヴァン:この映画は女性監督が撮ったものです。女性監督はハリウッドでも6%と少なく、インドはもっと少ないです。彼女(『ファイナル・ラウンド』の監督)は前作はコケてしまったのですが、もう一度チャンスをあげたいと思いました。今彼女は、女性監督のアイコンです。
(だんだん一昨日の『ブルカの中の口紅』のQ&Aの記憶と混ざってきたんだけど、大丈夫だよね?混ざってないよね?w)
Q&Aは数人の質問でした。終始とてもいい雰囲気で楽しい時間でした。
Q&Aの後、TOHOシネマズの出口の踊り場みたいなところでファンサービス!サインと2ショットお願いしました!
マーダヴァンの映画だと、マニラトナム監督の『Aaytha Ezhuthu』が無骨な役柄で好きなのでそれを伝えようと思いまして。でもAaytha Ezhuthuが伝わるように発音できる自信がなかった(そもそも読み方がいまいちわからんw)のでWikipediaのページを準備。いざ見せたら、上手く表示されてなくて、マーダヴァンが「今日眼鏡してないからよく見えないんだよ~もっと見せて」と言ってしっかり見てくれて、『Aaytha Ezhuthu』とわかったときちゃんとリアクションもしてくれて、とてもうれしかったです。
あとでお礼のツイートをしたら、お返事くれました。あぁ、なんてファンにやさしいの!
Thank you for the love.... https://t.co/jfoIv7pxr5
— Ranganathan Madhavan (@ActorMadhavan) 2016年10月31日
映画祭についても喜んでくれてるみたいで良かったです。
#TIFFJP So overwhelmed and touched with all the love and affection for #irrudhisuttru.Never expected this .
— Ranganathan Madhavan (@ActorMadhavan) 2016年10月31日
次の日
11/1のQ&A
平日真昼間、しかも月初なのでワーカーにはなかなか辛い日程…(有給ぶんどりました)
Q&A
マ:平日のこの時間に皆さん見に来ていただいてありがとうございます。
(昨日と服が違うので、荷物は無事見つかったの?と気になる私)
追記:この時点でまだ荷物見つかってなかったようです
司会者:Q&A始める前に、僕が昨日聞いてびっくりしたことをはじめに。ファンの方には常識かもしれませんが、今一度質問したいと思います。マーダヴァンさん、この映画は2つの言語で作られたものですよね?上映されたものは何語ですか?
マ:タミル語です。タミル語とヒンディー語で2回撮影されました。インドは大きく分けて2つのカテゴリに分かれるのですが、タミル語とヒンディー語である程度網羅できるのでそのように製作しました。
Q:主人公ヒロイン・マディは女優さんでなくてボクサーと伺ったのですが、彼女が抜擢された経緯や女優さんじゃない人と一緒に仕事することによって受けた刺激があれば教えてください。
マ:このことについては議論をしました。監督は女優さんから選ぶべき、僕は世界選手権の試合シーンがあるのでボクサーから選ぶべきと考えていました。リティカ(ヒロインのマディ役)は元々女優ではなく、演技の勉強をしたこともなければ撮影カメラを見た事もありませんでした。しかし、当時17歳の彼女はカメラに対し怖れがありませんでした。
Q:(マーダヴァンの生まれや経歴とかいろいろ~ ※省略)マーダヴァンさんは華麗な経歴をお持ちですが、今でも軍隊に居たいと思っていますか?
マ:僕についてのリサーチありがとう。僕は役者を目指したり演技の勉強をしていたわけではなかったので、今俳優をしていることを運命だと思っています。色々エンジニアや教師や色々な仕事をしていましたが、軍隊にいた時は空軍に入りたいと思っていました。それは映画『トップガン』や華麗な雰囲気に憧れていたからです。でも陸軍に配属されました。今は緑のズボンとオレンジのシャツを着て踊っている時に変な目でみられると、軍隊の方が良かったかな、と思う時があります。(会場笑い)
Q:この映画にもダンスシーンがありましたが、ダンスは必ず入れないといけないものなんでしょうか?
マ&プロデューサー:必ずしも入れないといけないものではありません。ですが、映画の中では音楽は重要なものです。映画は公開から4日間の興行収入が重要です。音楽で観る人をひきつける必要があります。(この辺うろ覚え)
Q:映画にはモハメド・アリが出てきますが、モハメド・アリについてどう思いますか
マ:映画の前に行ったボクサーについてのリサーチで、モハメド・アリがいかにすごい人物か、伝説である彼が、力でなく精神で闘う人物かについて知りました。モハメド・アリに対し尊敬しています。
Q:(役作りについてかな?質問忘れました)
マ:これの前の映画でかなり増量していたので、身体を作るのに1年半かかりました。ロサンゼルスからトレーナーを呼びました。1日45分でしたが、濃密なトレーニングでした。僕はベジタリアンなので、撮影中についていた筋肉は撮影後すぐに落ちてしまいました。
Q:最近、社会的なものを盛り込んだインド映画が増えてきているように感じました。インド映画界の中にいて、インド映画の変化について何か感じていますか?
マ:以前からインド映画はリッチなストーリーテリングな映画が作られていました。ただ、今まではそれが国外に出る機会が少なかったのだと思います。今までは大きな作品がほとんどでした。現在はスマホの普及で色んな作品が素早く認知されるようになったと思います。知性の意味で観客の考えを超える映画を作る必要があると思っています。
Q:ファーストシーンについて
※ファーストシーンはマーダヴァン演じるプラブが人妻とベッドにいたけど、ボクシング世界選手権がインドで行われるニュースで人妻そっちのけになり、人妻がキレてました。
マ:この映画はスマホ世代向けに作ったので、一つのシーンで複数の事柄を伝える必要がありました。このシーンでは、プラブにとってセックスよりボクシングが大事な事、彼の事を嫌っている人物がいる事、女性にあまり興味がない事などを伝えようとしました。
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この日(11/1)はメディアの方も数人いて、最後にフォトセッションありました。メディアの邪魔をしない程度に一般人も撮影OKで、結構太っ腹でした!ありがとう!
(マーダヴァンも手を振ってくれたのにシャッターチャンス逃したw)
ちょっと前までこういうの撮影NGだったような気がするんだけど、変わってきたのかな?日本の配給がついてたら違うかも。
フォトセッションの後は前日と同じくサイン会。今度は前日の踊り場的な所から降りた先の広場(チケット売り場横)で行われました。
こんな感じ。
さっきも書いたけど、Q&Aの内容はかなりうろ覚えです。申し訳ない。もしQ&A行かれた方でここ覚えてるから追加して!ってのがありましたら是非お知らせください~!!まだどこにも記事にされてないと思うので、できるだけ充実させて保存しておきたいなと思っています。
11/2のQ&A
さすがに3日連続参加するのは叶わなかったのですが、cinetamaさんが詳細な内容を記載してくれていました。ラッキー!
ニュース記事&動画!
東京国際映画祭2016にて『ファイナル・ラウンド』を観てきました。少しですが上映後に行われたR.マーダヴァン氏の質疑応答をどうぞ。日本にいらっしゃるのは今回が初めてではないそうです。28年前に千葉市にお住いだったカワハラヨシカズ様、今はどちらに? pic.twitter.com/lIrU1oAgAr
— Masala_Press (@masala_press) 2016年11月2日
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