インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Namaste England(ナマステ・イングランド)

f:id:komeindiafilm:20211005205844j:plain

2018年公開

出演:アルジュン・カプール

   パリニーティ・チョープラー

   アーディティヤ・シール

   アランクリタ・サハイ

監督:ヴィプル・アムルトラール・シャー

言語:ヒンディー語+英語字幕

時間:141分

媒体:ネット配信(Zee5)

 

あらすじ

パンジャーブ州の村に暮らす農家のパラム(アルジュン・カプール)は、祭りで見かけたジャスミート(パリニーティ・チョープラー)に一目惚れする。何度かのデートのあと、お見合いを経て結婚した2人。愛のある新婚生活がスタートした。

ジャスミートは以前から外で仕事をしたい、特にジュエリーデザイナーになりたいと考えておりパラムも結婚前からそれを尊重していたが、ジャスミートの祖父と兄は「女は家で家族の世話をするべきだ」という考えのもと、大反対していた。お見合いの際もそれは変わらず、結婚の条件に加えるほどであった。

パラムたちは海外であれば家族の目が届かず仕事を始められると考えるが、運の悪い事にトラブルが起き、パラムはビザ手続きができなくなる。他の方法はもう法の穴を突くか、違法に外国に渡るしか手がなかった。その一つに、海外に暮らす人と結婚して配偶者ビザを取得する方法があったが、それは2人の夫婦の証を一時的にも手放すことになってしまうため、2人は断念する。

そんな折、ジャスミートにイギリスの就労ビザが下りることになった。彼女が先にイギリスに渡り、後でパラムを呼び寄せることにしたが、見送りに行った空港で、ジャスミートはパラムが知らない男と旅立ってしまう。実は彼女は、パラムに内緒で配偶者ビザでイギリスに渡る計画を進めていて…。

 

いろいろ

f:id:komeindiafilm:20211005232003j:plain

2007年のヒット作『Namastey London』の正式な続編としてリリースされた本作。しかしふたを開けてみると、酷評&大コケし、そこそこ問題作扱いとなってしまいました。(Namastey Londonとはストーリー上のつながりはなし)
とはいえ私としては、言われているほど酷い映画とは思わなかったです。その辺書いていければなと思います。

 

f:id:komeindiafilm:20211005232445j:plain

一時期のヤシュラジ風の、気軽に楽しめるテイストのロマコメ。なので2000年代のボリウッドが好きな人には比較的合ってるんではないかなと思います。
そう書くと、一方で野心的なところや目新しさはあまりないとも言えます。

良くも悪くもボリウッドお得意のキレイゴト描写がちょっとリアルさから離れている感じが時代に合ってないかもなぁ…。とはいえ元々そういう映画が趣味の入り口であり好きなテイストだった私としては、キレイゴトで現実逃避することで救われている部分もあるので、こういうのも定期的に欲しいよな、って感じ。

 

主に残念だったところは、

女性の権利を認めない社会(家族)VS自分の人生を生きたい女性とそれを尊重する夫─という図式でスタートしたところが、気が付いたら夫婦の関係にシフトしていて、特に結末にかけては消化不良。

世界のどこかにいるいち夫婦の出した答えとしては別にいいけど、それを映画の結末として広く見せる=社会の模範や総意に近いものとして扱うにはちょっと納得いかないなぁと思いました。そもそも問題のスタートを考えるとその後扱うべき点がちょっと違うなって感じてしまったのと、一応だれも不幸にならない答えになったのはいいとして、夫婦の関係を破綻させずに個を尊重するもうちょっといい形に決着をつけるところまで見せてほしかったと思う。

この辺も、10年以上前のお話だったらもしかしたら受け入れられてたかもなぁ…といった感じ。映画は懐古をコンセプトとしてない限り鮮度が求められるので、少しでも古い内容だとちょっと違うなぁと思ってしまうわけです。

 

映画的にあまり目新しさがないと同時に主演2人にもあまりこれといった発見はなく、過去に演じてきたキャラクターの焼き直し感はあります。個人的には意外性とかイメチェンとかが好きなのでサプライズなしの役は少々退屈を感じてしまうんですが、安定したものや十八番を楽しみたい人には向いてるかもしれません。

f:id:komeindiafilm:20211005234400j:plain

パンジャーブの村とかパリニーティの衣装とか良かったです。インド映画のインド的愉しみは前半で吸収。後半は都会的なイギリスが舞台で洋服がメインになるのでインドみは薄れますが、皆無にはならないです。

 

 

可もあり不可もありといった感想を持ったので世間的にはどういう評判だったのか気になって探ったところ、びびったのは「2018年最も観るべきではない映画」と酷評されてたことです。いや~さすがにそこまでは思わんかった!『Namaste England』はある程度は観られるクオリティの内容だし2018年はもっとつまらん映画あったぞ!!どんだけ嫌われとるんや!!

スルーしても損ではないですが、一方でインドの評判で構えてしまうほど酷い映画ではなかったと思います。

 

リンク

「Proper Patola」

 

「Bhare Bazaar」

 

「Dhoom Dhadakka」