インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Baji(バージー)

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2015年公開

出演:シュレーヤス・タルパデー

   アムリター・カーンヴィルカル

   ジーテンドラ・ジョーシー

監督:ニキル・マハージャン

言語:マラーティー語

時間:170分

媒体:ネット配信(Zee5)

 

あらすじ

シュリラングプルは古よりバージーという勇者によって守られている小さな村。村人たちは彼のおかげで恐怖とは無縁に生きていた。しかしいつの日かバージは現れなくなり、今や彼の存在は人々の記憶から薄れ、功績は伝説と化していた。

そんな村で母親と暮らすチードゥ(シュレーヤス・タルパデー)は、心優しい青年。バージーの存在を信じる幼馴染のガウリー(アムリター・カーンヴィルカル)に昔から惚れていたが、ガウリーからは度胸がないことを理由にフラれてしまう。落ち込むチードゥは、あることをきっかけに自分こそがバージーの後継者であることを知る。

村では人知れず財宝が隠されているという噂が密かに存在していた。村人のマールタンド(ジーテンドラ・ジョーシー)はある日金貨が入った小さな箱を見つけたことを機にその話を知る。また彼の父はその宝さがしの最中にバージーに殺されていたことを初めて知り、父親の無念を晴らそうと自ら財宝を追い求め始めるが…。

 

いろいろ

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面白かった!

 

ヘタレ主人公に伝説のヒーローに個性的なコスチュームに。スーパーヒーローの特徴をいくつか押さえつつ、一方で実にインド映画的なストーリーを用いていました。

完全なスーパーヒーローものとして観ようとするとスーパーヒーローのセオリーから逸脱する展開だったり、粗削りな作りもありましたが、マラーティー初のスーパーヒーロー映画としては上出来だと思います。

現在におけるスーパーヒーローの主軸がアメリカ起源といっても、インドというローカルで作る以上はローカルに沿ったヒーローであるべきかなと思います。もとよりマラーティーから世界的興収を狙った制作であれば世界に飛んでいってもいいけど、ことスーパーヒーローに関しては守る範囲が狭い方が個性があっていい。世界的普遍性がないことで差別化でき、インドで作る意味があるためです。

 

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この映画の精神とするところは「ヒーローがヒーローたらしめているのはその力ではなく心」ってところだと思います。本作はその精神の通り、ヒーローに超人的な力はなく、コスチュームにも特殊な力は宿っておらず、ヒーロー活動に使える財力も装備もありません。強いて言っても「喧嘩慣れしてない人よりはちょっと強い人」レベルで、コスチュームも何もないいつものインド映画と全然変わらないです。

 

正直スーパーヒーローがやっちゃいけないとある事もやってます。そのことが主人公の運命を左右するものとして必要だったかもですが、後半にかけてスーパーヒーローである必要性がなくなってしまっています。運命を同じに違う方法は取れたとは思うので、もうちょっと頑張ってほしかったな~感はあります。

 

しかしま~スーパーヒーローもの好きとしては、やっぱりスーパーヒーロー誕生のシーンは血は騒ぎますな。来るぞ来るぞ!って無限にテンション上がってしまうのよね。

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マラーター帝国にバージー・プラブー・デーシュパンデーっていう歴史上の人物がいたんだけどその人から名前拝借してたりするんだろうか、もしくは他の何かの代名詞とか…

 

ヒーローが一皮むけるために一度心打ち砕かれるくだりはよくある通り今回ももちろん描かれます。『Baji』のそのエピソードの描き方はかなり強引なものでぶっちゃけびっくりしました。それは想定してない!正直それでいいんかという気もしたけど実にインド映画的ではありました。普通のスーパーヒーロー映画のつもりで観てたら色々と裏切られる!スーパーヒーローの物語に乗せたが故にインド映画的な部分がより強調された形に出来上がっていて、狙ったものかそうじゃないのかちょっと分からないけど面白い現象になってるな~って思いました。

 

色々語りだしたくなる映画でした。観た人と語り合いたい。インドにおけるヒーローものに興味がある人にオススメです。

 

リンク

多分公式 予告編

 

「Aala Aala Re」

 

「Majha Baji」

 

スーパーヒーローっぽいインド映画たち