インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Nenjam Marappathillai(魂は決して忘れない)

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2021年公開

出演:S.J.スーリヤ

   レジーナ・カサンドラ

   ナンディター・スウェータ

監督:セルヴァラーガヴァン

言語:タミル語+英語

時間:142分

媒体:ネット配信(Simply South)

 

あらすじ

教会の孤児院で育った敬虔なキリスト教徒のマリヤム(レジーナ・カサンドラ)は、孤児院の運営の手助けのために、裕福な家の高給なベビーシッターの仕事に就く。家にはラムセイ(S.J.スーリヤ)をはじめとする社長一家と男ばかりの使用人4人が暮らしていた。主人のラムセイは昔は工場のいち社員だったが、社長の娘と結婚して成り上がった身だった。ラムセイは度々妻の目を盗みマリヤムに度を越したハラスメントを行い、マリヤムは不快に思いながらも給料のため我慢していた。しかしいつしかそれが事件へと発展し…。

 

いろいろ

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7G Rainbow Colony』『NGK』などヘビーかつカルト的人気を誇るセルヴァラーガヴァン監督の最新作です。

最新作といいつつ、作品自体は2016年の半ばに出来上がっていたけれども、いろいろあって遅れに遅れてやっと2021年に公開されたものらしい。私も2019年頃からずっと待っていたので、お蔵入りせず公開されてよかった~と思っております。

 

いつものように事前情報をちゃんと収集してなかったので、奇妙な一家のサイコスリラー?って想像してましたが違いました。サイコな人物は出てきますが、ジャンルとしてはホラー映画です。

なんかもうまずサイコみ溢れるポスターデザインに惚れたんだよねぇ。

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公開直前のポスターたちは、これに比べたら普通なのでは。

この笑顔の人物はラムセイです。元々ラーマサーミーという名前の一工員だったのが、奥さんを口説き落として?社長の娘婿になり、いまや大きな家の主人という、成り上がりの人物。ぱっと見ブランドスーツに身を固めたハイソサエティな人物ですが、しかし裏の顔は…。

 

この映画の特徴的なところに、このサイコな主人の心理描写の抽象性があります。過剰ともいえる非現実的なシーンは、フィクションでしか見れない非リアルな描写が好きな人にはたまらないかもしれません。

一部は本気で何を表現したかったのかわからないところもあったけど映像がおもろかったから好きw

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この心理描写のみのシーンと心理描写と現実の両方を兼ね備えたミックスのシーンが少々コミカルに描かれているんだけど、現実はかなり胸糞なので、前後を知ると背筋が凍るところもあり。

ここなんかコミカルと胸糞がここまで両立するか?みたいなお尻フリフリシーン(ここは心理描写と現実の両方を兼ね備えたミックスのシーン)

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物語上の主人公は私としてはどちらかというとレジーナ演じるマリヤムだと思うんだよねぇ…感情移入しやすいのはマリヤムに対してだし。しかし心理描写の力の入れようは絶対にラムセイなんだよね…。悪役の恐ろしさとか悪行を見せるためのシーンに時間かけるならまだよくありそうだけど、こういう内面的な描写にめちゃめちゃ時間割くの面白いなーって思いました。異常性を映像で描いている。でもラムセイの内面を観てもラムセイのこと何一つ理解できなかったのもおもろいwwwww

 

ラムセイという人物をやるS.J.スーリヤさんがこれまた上手くてね…一見しっかりした見た目でありつつ一方でめちゃめちゃ気持ち悪いという…。どっちもいけるS.J.スーリヤさん凄すぎ…。

 

 

カルト的な人気になってもおかしくない、異質なホラー映画でした。

できれば観てほしい必見映画でし。

 

セルヴァラーガヴァン残忍な殺人描写や救いのない重い展開も特徴的ですが、男性から女性へのハラスメントをわりと生々しく描くのに気が付きました。全部が全部じゃないですが、不快な性的シーンを遠慮なく入れてくる気がします。まぁ…メンタルごっそり削られつつ毎度すごいなぁと思わせるので目が離せないですね。

 

リンク

予告編

予告アップが2016年で、公開日が遅れた雰囲気をめっちゃ感じる…

 

本作のソングシーンはリアルと非リアルの境界線を曖昧にするもの。

クオリティ高いし、本編への溶け込ませも方めちゃめちゃうまいと思う。

「Kannungala Chellangala」

これ単品だとお尻フリフリ可愛いなって思うけど前後関係含めるとヤバイぞ。

 

「En Pondatti Ooruku Poita(妻が町を出た)」 

こちら数日奥さんが家を空けるってことでテンションが上がった夫の歌。急に飛行機が欠航して帰ってきたらどうする?みたいな心配もしてる。
歌詞は奥さんがいない間に羽を伸ばそうとしてる夫の姿で面白いけど映画の前後と合わせるとこちらもかなり下衆い。