インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Aayirathil Oruvan(千に一人の男)

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2010年公開

出演:カールティ

   リーマ・セーン

   アンドレア・ジェレミア

   R.パールティバン

監督:セルヴァラーガヴァン

言語:タミル語+英語字幕

時間:181分

媒体:ネット配信(米アマゾンプライムビデオ)

 

あらすじ

タミルの失われた王朝、チョーラ朝の末裔がベトナム近くの島で密かに文明を築いているという情報を得たインド政府は、政府役員アニタ(リーマ・セーン)、チョーラ朝を探して行方不明になったチャンドラムーリ(プラタープ・ポーダン)の娘ラーヴァンヤー(アンドレア・ジェレミア)や軍人を引き連れて探索プロジェクトを開始する。そこには、荷物運びとして雇われたムトゥ(カールティ)も含め大勢が参加していたが、島に着くや否や彼らには待ち構えていたのは、島に仕掛けられた数々の罠で…。

 

いろいろ

最近ね、ダヌシュ主演で続編が制作開始になるってニュースがあったんですよ。

てなわけで、以前か鑑賞候補には入れてた本作を早速観たわけです。ちなみにニュース以前に鑑賞候補に入れてた理由は自分でも覚えてない(笑)

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『Aayirathil Oruvan』は冒険ものと歴史ファンタジーのMIXみたいなやつです。そして監督がセルヴァラーガヴァン…。私セルヴァラーガヴァンにはトラウマしかありませんw監督作はまだ半分ほどしか観てないですが、『Kaadhal Kondein』『Pudhupettai』『NGK』とタミル映画のダークサイドを凝縮したような闇の深い3作品をを観て完全に警戒していますw じゃあ観なきゃいいじゃんって話なんだけど、監督の作る映画なんか狂気が凄くて観てしまうんだよね…。

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『Aayirathil Oruvan』前半のほとんどは遺跡を目指す冒険もの。途中の罠で人がそこそこグロい死に方をするあたりで監督節を感じますが(笑)、それ以外は古の資料をもとに謎を解くところがあったり人智を越えた不思議な力が作用したりでインディージョーンズっぽさがあり…?冒険もの好きな方はワクワクできるかもです。(途中グロいですが)(大事なので2回言った)ちなみに罠は7つあるらしいんですが、どれが7つの罠か途中からわからなくなりましたw

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冒険パートで未開の地の部族があたかも文明的でない描かれ方をしているので(この言い方で合ってるのか分からんけど…)、この時代にこの描写はアリなのか、アメリカ映画だったら炎上せんかな…って勝手に心配してしまったんだけど、それについての本質は後半にがっつり出てきていました。さすが監督!!(監督に警戒しつつ畏敬の念を抱く)

要は非接触部族に近い存在が島にいて序盤から最後までいろいろな形で主人公たちと接触することになるんですが、それらの部族に接触する現代的な生活を送るタミル人との比較が終盤にあり、ここがめちゃめちゃエグい話でした。精神にくる…。人を見たらすぐ殺そうと攻撃してきて、言葉も交わそうとしない独自の文化を送る部族たちと、先進的と言われる環境の中で育ってきた人間のどちらが"野蛮"なのか、監督はここを描きたかったのかなと思うくらい強烈なシーンでした。辛いけどちょっと観てほしいレベル…。

 

映画の長さは脅威の181分。実際に現地で上映されたときは短縮されたそうです。私が観たのは181分版。現地ではカルト的な人気があるそうで、続編の発表があった際もざわざわしていましたw タミルの人達はどこに惹かれたんだろうか…歴史ロマンか、はたまた強烈なメッセージか…。

 

失われた文明が別の地で残っているかも、ってロマンがありますよね~!!現実にそういう噂は多分なさそうですけど、滅びゆく王朝の末裔が戦争から逃げ、海を渡り、新たな地で一から文明を復活させる…壮大だ…。

ちなみに主人公たちに対峙する人の中でリーダーがちょっとヴィジャイ・セードゥパティっぽくて、あれ?彼はこの作品に出てたっけな?って一瞬戸惑いました(笑) R.パールティバンという人です。この人ととある人の夜のシーンがアダルティだったので、家族と一緒に観ると気まずいかもですw

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始まりとはあまりにも違うクライマックスの衝撃に、観た後は言葉が出なくなるかもしれません。タミルの強烈なメッセージの映画が好きな人、圧倒される映画を観たい人にはオススメです。あとはダヌシュファンの方は新作映画の予習としてぜひ。

 

リンク

「Thaai Thindra Mannae」

 

「Adho Andha Paravai Pola」

カールティ版の公式動画のがないので貼れないんですが、資料的な動画をば。『Aayirathil Oruvan』のタイトルは1965年MGR主演のこちらの映画から採用されてて、その映画のこの映像がダンスシーンに使われている…というシーンです。カールティ版もこちらと同じく船の中で踊ってます。

 

「Un Mela Aasadhaan」ダヌシュとかが歌ってるよ