インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

FAN

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2016年公開

出演:シャー・ルク・カーン

時間:138分

媒体:オンライン配信

言語:ヒンディー語+英語字幕

   

自身も大スターであるシャールクがボリウッドの大スターとそのファン2役を演じる事が話題になった一作。スリラー映画です。

 

あらすじ

ゴーラヴはデリーの中流家庭のどこにでもいるような青年。一つだけ違うのは、”アールヤン・カンナーの熱狂的なファン”であること。小さいころからアールヤンの事だけを考えて生きてきた。皆が神様を心の拠り所にするのと同じく、彼にとってはアールヤンが”神様”であった。

ゴーラブが住む街でコンテストが行われる。ゴーラヴはアールヤンのファンなだけでなくモノマネもうまくできたため、優勝してトロフィーと賞金をもらう。ゴーラヴはアールヤンにこのトロフィーを渡そうと、ちょうど誕生日を迎えるアールヤンに会いに行く。

意気揚々とムンバイーに着いたゴーラヴだったが、そうやすやすと彼に会えるわけでもなく、計画は失敗に終わる。しかし、TVでアールヤンのニュースを見た彼はある”ささやかなプレゼント”を思いつき、実行に移す。彼の為にやったことなので当然喜んでもらえると思ったゴーラヴだったが、それを知ったアールヤンから完全に拒絶されてしまう。

自分の人生そのものに拒絶されたゴーラヴの心の中で、何かが変わろうとしていた…。

 

いろいろ

この映画もう「絶対見る!」と決めている方がかなりいらっしゃると思うので、そんな方は読まない方がいいかと思います(見ると決めてる以上、先入観はなるべくない方がよし)。映画ご覧になったあとに是非お願いします。

 

やー、すごい映画でした。

いわずもがな、インドの大スター・シャールクがスターとそのファン両方を演じることが最大の見どころ。

ゴーラヴ君は序盤はなかなかかわいらしいのです。ちょっと熱狂的すぎる男子ってくらい。探せばどこにでもいるような。まあでもだんだんアレになってしまうのですが…。

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アールヤンのほうが序盤は逆にクールすぎるというか。人間味が少ないようにも見えました。冷静に判断できる大人だからか、はたまた熱すぎるゴーラヴ君が比較対象だったせいもあると思います。

アールヤンは名前こそ変えているものの、”シャー・ルク・カーン”をそのまま投影したキャラクターでした。ほぼ本人役。有名な自宅(Manat)ロケやシャールクの過去作品からの映像引用、ステージや授賞式のスピーチの引用などなど…。自宅内装は解らんけどw

奥さんだってゴージャス系で近いものを感じますし。

特殊メイクでエラが張ったゴーラヴ君と並んだアールヤンはスマートでめっちゃかっこ良く見えました。最近のファニーな要素が多かった作品『Happy New Year』 『Chennai Express』だとそんなにカッコよく見えなかったので、今回でやっと納得w

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正装もびしっときまっております。

 

これ、ゴーラヴ君かアールヤンどちらに感情移入するか話題になってたんですが、私はアールヤン派でした。

理由の一つはシャールクのファンじゃないから。もしシャールクじゃなくてシャーヒドとかファワード・カーンだったらゴーラヴ君派になってたと思います。

他には、何かのファンであることを冷めた目で見ちゃう所があるから(自分だって好きなものいっぱいあるのにヒネた性格っすねw)。

もしシャールクのファンでゴーラヴ君に感情移入しちゃったら、かなり心の中が忙しくなる気がするw

客観的に見れば、ゴーラヴが悪い方でアールヤンが良心の方なんですけど、ゴーラヴ君からしたらまさに反対の構図になる、二面性のある設定が興味深いです。社会的に見たらゴーラヴ君がやったことは犯罪そのものなんですけど、ゴーラヴ君からしたら、「いままでなにもかも捧げてきた”自分の人生”をアールヤンに壊された」わけですからねぇ…。

 

前半は主にあらすじに書いたあたりです。

後半(内容は言うとネタバレになる?)はざっくり言うと攻防戦なんですけど、ここでの観客をも巻き込む感じがいいです。こっちも「今どうなってんの?」って。ストーリーはわかるけど、状況がわからない感じ(うまく説明できないw)。クロアチアでの追いかけっこアクションもいいっすね。

 

ゴーラヴのガールフレンド、ネーハが個人的に好み。シュリヤー・ピルガオーンカルという女優さんだそうです。

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アールヤンの奥さんよりこっちの方眺めてる時間の方が好きでした。ネーハのほうが多分出演時間長い。

 

あと、ゴーラヴのお母さんのポジションも良かったと思います。最初の方はゴーラヴがアールヤンの熱狂的ファンであることに小言?を言ってたので「まあまあいいじゃないだれのファンでも」と思っていたのですが、クライマックス近くでちゃんとした判断ができる母親ということがわかりまして。お父さんはちょっとゴーラヴに甘すぎかなぁ。

 

あ、そうそう、オープニングでシャールクの過去映画が色々流れるのですが、古いものが多いからか私あんまりわかりませんでしたw観た事あるやつが混ざってるかどうかすらあやふやw『Billu』の時は映像イントロクイズができるくらいわかったんだけどなぁ…(笑)

 

 

この映画に興味があって観る方のほとんどは、何かしらのファンだったり愛してやまないものがあると思います。昨今の日本でもアイドル・タレントとファンの間で距離感のミスマッチやトラブル、犯罪絶えないことを考えると、必ずしもかけ離れた題材ではなく、観ているとだんだん背筋が凍ってくるのを感じました。特にシャールクのファンであることを責めるようなメッセージはないものの、ファンが一線を越えてしまわないよう、「自分に他人を投影するのではなく自分自身の人生を生きるべき」というメッセージがセリフに込められていて、一個人からすると”ファンのあり方”に考えさせられる映画でした。

 

動画

予告編と映画本編のイメージはほぼ一緒と考えていいと思います。


「Jabra Fan」

これ、映画のどこかに入っていると思いきやなかったです。歌少ないとは聞いていたもの、これすらなかったとはw

最近ボリウッドでプロモーション用だけのダンスシーン増えたなぁ…。

今回『FAN』にはダンスシーン入れてもおかしくならなさそうな箇所何か所かあったんですけど、あえてそぎ落としたんですかね?ある意味入れた方が良かった気も。

 

削除シーンからひとつ。

ニット帽×ヒゲ×黒縁メガネなルックス好きw