インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Kaatru Veliyidai(吹き渡る風に)

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2017年公開

出演:カールティ

   アディティ・ラーオ・ハイダーリー

   R.J.バーラージ

監督:マニ・ラトナム

時間:134分

言語:タミル語+日本語字幕

 

あらすじ

空軍パイロットの"VC"ことヴァルン・チャッカラパーニ(カールティ)はカールギルで交戦中、戦闘機が損傷し墜落、パーキスターンの捕虜となってしまう。収容所で身動きの取れない生活を送る中、ある女性との出来事を思い出す。

医師のリーラー(アディティ・ラーオ・ハイダーリー)はシュリーナガルの病院にやってくる。ちょうどその時、近くで交通事故にあったVCが緊急搬送されてくる。到着早々患者を診ることになった彼女は懸命に治療を行うが、VCは動けるようになった途端に病院を抜け出し軍に戻ってしまう。

軍のパーティーでリーラーと再会したVCは、治療途中に病院を抜け出したことの謝罪に民間航空機に乗ろうと誘う。はじめは拒否したリーラーだったが、最終的にVCの誘いに乗る。

その後も交流するうち、いつしか交際することになったVCとリーラー。しかしVCの数々の身勝手な言動に、とうとうリーラーは彼と距離を置くことを決めてしまう。その時カールギル紛争が勃発。VCは戦闘に参加しないといけなくなり…。

 

いろいろ

今年2回目の開催となった映画祭・ICW2018で上映されたので観に行ってきました。映画祭での邦題は『吹き渡る風に』。

『ボンベイ』や『Dil Se..』を作った巨匠マニラトナムが監督、スーリヤさんの弟で俳優キャリア10年以上のカールティと、主にボリウッドで活躍するアディティ・ラーオ・ハイダーリーが主演。そして音楽はA.R.ラフマーンです。

 

※以下ネタバレを含みます

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クソ映画!

 

はじめは、雰囲気重視な映画かなと思ったんですよ。『ボンベイ』や『Dil Se..』を作った巨匠マニラトナム監督が、そんなエキセントリックな駄作を作るはずがないと。情緒的に撮ったものだと。ちがいました。クソオブクソ映画でした。金と時間返せとは言わないけれど、途中から石投げつけたくて仕方がなかったです。

まず主人公がクソ。自己中心的でナルシスト、サイコパスですらある。この主人公のキャラクターを受け入れろって言われても、かなり無理。もしこのVCを気に入った方いたらスミマセン、でも私は拒否反応しかでませんでした。

やることなすことが酷すぎます。

友人たちとの歓談の場でリーラーが意見を言うと「お前は女だ 大人しくしてろ」な発言がナチュラルに飛び出す差別主義者。ある日結婚登記所に突然呼び出し、明日結婚登録すると宣言しておいて、いざ翌日の待ち合わせはすっぽかし、挙げ句2日くらい連絡なし!彼女が会いに行ったら「忘れてた デリーに言ってた」…あれかな?君は鳥頭なのかな?

もちろんそれだけじゃない。リーラーが妊娠したから相談に来たら、「俺は心の準備ができてない 無理だ父親になれない」とかなんとかいきなり子供じみた泣きに入る始末…。準備できねぇじゃねえよ!!するんだよ!!お前この前結婚しよ言うとったやろが!!!おままごとか!!!

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↑こんな雰囲気ある写真も、かなり胸糞なシーンです。

 

カールティの映画は『Biriyani』とか『Theeran Adhigaaram Ondru』とか観ていて、超ファンってわけではないけど一応は応援している俳優さんです。だからちょっと甘めの評価にしちゃいそうだけど、それでも全く受け入れられないキャラクターでした。

 

あとそれに付き合うヒロイン・リーラーも大概にしろって感じ。

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どんなに酷いこと言われても、VCが愛の歌を歌えば戻ってくるし、謝ればほだされて許しちゃう…VCに辛いことされて心が離れてもその後VCにされると戻っちゃう。DVの典型じゃないすか。もっと自分を大切にしたら?あとちょいちょいバカです。雪山でVCが「吹雪が激しいし雪崩きちゃうから帰ろう」って珍しくまともな事を言ったのに「いや!この景色気に入ったからまだ帰らない!」と突然のわがまま。観てる側ドン引き。なんやこのヒロイン、いい大人で人命とか冷静になって考えられないのか?

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↑吐く息が白くなる気候なのに、ノースリーブキャミワンピを着て待ち合わせに来る女、それがリーラー。君医者じゃないの?あとこの時普通に「寒い」って言ってた。ギャグかな?

 

「なぜヨリを戻すの?」って同僚たちの会話で、「愛だから」って片付けられる2人。愛ってだけで数々の茶番劇に納得しろってか…納得できねぇーーー!!インド映画たまにそういうところあるよね!!こんな2人に付き合う同僚、かなり優しい。私ならどうぞご勝手にって距離置くね!

この台詞に限らず、色んな事がその場しのぎで片付けられていく話です。こちらは全く腑に落ちないまま次の出来事へ。そのせいか、雰囲気はあるけどストーリーが支離滅裂な印象に。イライラしてしまって心に吹き渡る暴風…。スクリーンから離れていく心…。何度席を立とうと思ったことか。しかしこれは映画なので観客としては最後まで見届けないと怒りもできないので見届けました…(映画祭には怒ってないです 映画制作者には怒ってますw)。

 

 

観客的には遅いよっていうタイミングでとうとうリーラーにさよならを言われてしまったVCは、パーキスターンでの捕虜生活で彼女の大切さを思い知り、行方が分からない彼女を探すことになります。しかしVCのなにがどう彼を生まれ変わらせたのか、彼の性格がどういい方向になったのか全然わからないので、この先VCとリーラーが一緒になってもまた同じことになるのでは…という不安しかない将来像が見えます。映画って主人公の心境の変化をちゃんと見せないと説得力がなくないすか…??その辺何も説明がなかったというか、監督的には回想と捕虜生活で説明ついてるかもしれないけど、どこが??って感じで全く伝わってきません…。

あれかしら、高度な人にしか読みとれない高尚な内容なのかしら?

 

 

 

映画祭での日本語字幕は、冒頭の演者・スタッフのカタカナ表記が不自然だったため、もしかしたら台詞も私が観たものと実際のタミル語では乖離があるかもしれません。このブログに書いた台詞も実は違うかも。でもVCのサイコパスさ台詞だけではなく行動にも含まれるので、もし原語を理解できたとしてもこの映画の評価に大きな変化はないと思います。

というわけで、インドでどんな評価受けているかわかりませんが、私には理解したくもなくなるほどアカン映画でした。インド映画観るなら良作だけでなく駄作も観た方がいいと思うので、駄作の候補としてオススメしたいですw

 

リンク

ぶっちゃけ、A.R.ラフマーンはあまり私の好みじゃない(一部を除く)ので、あんまり響いてきませんでしたw

「Azhagiye」強いて言うならこれが楽しそうで一番好き

 

「Saarattu Vandiyila」家族はデリーで暮らすタミル系?地域性ミックスするのはいいけど、ぶっちゃけ全編タミルでも成立すると思う。

 

「Jugni」ラフマーンぽいな~って思う曲