2007年公開
出演:アーミル・カーン
ダルシール・サファリー
監督:アーミル・カーン
言語:ヒンディー語+英語字幕
時間:164分
媒体:Netflix
あらすじ
学校でも家庭でも問題児となっていた8歳のイシャーン(ダルシール・サファリー)。勉強が苦手な彼は代わりに空想が好きだった。近所の年上の男の子を取っ組み合いの喧嘩をしたイシャーンは、父親に次に問題を起こしたら寄宿学校に入れると言われてしまう。
すこぶる悪い点数のテストを両親に見せられずサインをもらえなかった彼は、授業をサボってしまう。欠席届を出さないといけなかったため、兄のヨハンに書いてもらう。しかしある日、その欠席届が父に見つかってしまう。約束を守れなかったイシャーンに対して激怒した父は、友人のコネを使いすぐにイシャーンを寄宿学校に転校させる。
学校にはいままでよりさらに厳しい先生たちがいたうえ、家族に会えない寂しさが募り、イシャーンにとって非常に辛い環境だった。とうとう完全にふさぎこんでしまうイシャーンだったが、ちょうどその時、臨時で新しい美術の先生ニクンブ(アーミル・カーン)が赴任してくる。
ニクンブはイシャーンの様子を見て、彼は失読症であることを見抜くが…。
いろいろ
あんまり得意じゃないジャンルなので、公開当時から知ってはいたものの何となく避けてました。当時はアーミル苦手だったのもあり(笑)。
Netflixで配信終了してしまうとのお知らせがあり、せっかく日本語字幕が付いてるなら…と観た次第です。2007年の主要ヒンディー映画はこれでやっと網羅できたかもな?(あんまりちゃんと確認してないけどw)
周りの大人たちが子供に起きていることを知識として持っているか持っていないか、ってかなりでかいんだなと思いました。自分は子供と接する環境にないのでちょっと他人事で申し訳ない。このお話の中でのイシャーンの周囲の人々は、イシャーンの学校の成績が悪いのはイシャーンが怠けているからだと信じて疑わない。兄は学年トップでその弟なんだからイシャーンも本人が頑張りさえすればいい成績が取れると思いこんでるのがまたすごい。親の期待とか失読症を抱えてるとかのレベルじゃなくて、兄弟なんだから同じはずっていう思考回路。兄弟で比べられることってめちゃめちゃよくあるよな…あれ冷静に考えたら怖いな…。
…話ずれてしまったけど、イシャーンが失読症っていうのを親は学校の先生も誰一人可能性すら思わなくて、過去に経験のある先生とたまたま出会ってやっとイシャーンが自分らしく生きていける光が見えるってのが未来に希望が見える一方で、イシャーンが学校に入って少なくとも3年間は苦しんできた状況が辛いですね。映画の中でも先生が登場するまで割と時間が長くて、小さなイシャーンが苦しんでるシーンがたびたびあるので結構辛いです。映画が辛くてダメって言うわけではなくてむしろ必要なシーンで、現実世界でもそういうハンデがあるのがはっきりわかるまで辛い思いをする子供がたくさん居そうだよなってのがしんどいですねって感じのところです。
というわけで、映画を観て色々な社会問題のことを考えるのは大事なことだとは思いつつ、やはり自分が映画に求めているものではないので(ブログ読んでくれてる方はお分かりの通りハッピーで笑える映画が観たい人間なので)、もっと早く観ればよかった…!みたいな後悔はあんまりないです。観終わったあとも、とりあえず2007年の話題作を押さえたっていう知識欲(?)を満たすレベルだったかな…。
映画はとてもいいです。観るか観ないかでいうと、人それぞれの好みは置いといて、観て損はないかと思います。いろいろ辛いところはあるけど救いようのない暗い話ではないし、映画自体が主人公の小さな男の子を慈しむ空気になっていると思います。おそらくそもそもハンデのある子供たちにスポットを当てて一般層に啓蒙したい意図があっただろうし、それが現実社会にどう影響したかまではわからないけど、その点の理解・受け入れやすさはかなり良かったと思います。
ただイシャーンのようにサヴァン症候群やギフテッド的なものを持ち合わせてることが成功の条件みたいに強調されてしまったのがちょっと難でした。映画としては突出した能力を描いた方が華やかさが出ることは理解できるものの、失読症の子供なりの教育とか、才能はなくても「好き」だけで成立する向き合い方とかをもうちょっと出してくれた方がよかったかなぁ。
インドのアニメーションって絵柄がちょっとクセあるんですけど(欧米寄りなとこある)、本作のアニメーションは比較的カワイイ部類でした。オープニングはCGかな?素敵でした。イシャーンの空想がアニメーションで独創的なので、その辺観るだけでも楽しいです。
リンク
「Bum Bum Bole」ばんばんぼーれー
「Jame Raho」このコミカルな殺伐感すきw
「Kholo Kholo」