インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Filmistaan(映画の国)

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2010年公開

出演:シャリーブ・ハーシュミー

   イナームルハク

   クムド・ミシュラー

監督:ニティン・カッカル

言語:ヒンディー語+英語字幕

時間:117分

媒体:DVD

 

2019年に出した同人誌『インド映画でちょっと休憩』で書き下ろしたものの再録になります(加筆あり)。

 

あらすじ

俳優を目指すサニーことスニート(シャリーブ・ハーシュミー)は俳優志望だったが仕事にありつけないでいたため、アメリカ人がドキュメンタリー映画を撮るためにADを探していると紹介してもらう。今の大スターもはじめはADだったと説得されたサニーは、撮影クルーとしてラージャスターンへと向かう。映画撮影は順調に進み、インド・パキスタン国境付近でも撮影が始まった。とある夜、サニーは整備した車をひとりで運転していたところ、何もない道路の真ん中で倒れている人を発見する。下車し声をかけたその瞬間、何者かに襲われ拉致されてしまう。
彼を拉致したのは、パキスタンのテロ集団だった。彼らの狙いは政府との交渉に使いやすいアメリカ人だったが、偶然にも監督の車にサニーが乗っていたため、間違えられてしまっていた。インド人の人質では交渉に使えないと判断した彼らは、アメリカ人を拉致するまで、国境付近の村でサニーを監禁する。
村はテロリスト集団と全く関係がなく、村人たちはテロ集団に脅される形で彼らをかくまうことになった。サニーが閉じ込められた家には村民アフターブ(イナームルハク)がおり、ちょうど遠方から帰宅してきた。アフターブの仕事はインドや海外の映画を違法コピーする海賊版映画ビジネス。映画関係の仕事をしているサニーが居ることを知ったアフターブは、喜んで彼の世話をする。サニーもアフターブも人懐っこく、2人はすぐ仲良くなる。
アフターブは、インドに帰りたいというサニーの願いをかなえようと、あることを計画するが──。

 

いろいろ

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見知らぬもの同士が映画を通して心を通じ合わせるヒューマンドラマです。

映画が国と国を結ぶまでの力はありませんが、小さな友情を作ったり、人の心を動かしたりする力はあります。インド映画を好きな自分としては、劇中に出てくるさまざまな映画の映像や台詞ネタ(出てくるのはボリウッド)が楽しいのはもちろんのこと、映画に対してキャラクターが抱いている憧れや思い出などさまざまな想いを知るごとに、この映画が映画愛に溢れていることに感動しました。

 

映画を通した、サニーとアフターブと村人たちの交流はとてもほっこりする展開ですが、同時に村ではテロ集団のメンバーが常にサニーを監視しているので、緩急が交互に訪れて飽きません。人懐っこいサニーが怪しい行動をしているつもりがなくても、テロ集団に警戒され命を狙われる事が一回で終わらないところがとてもハラハラします。

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主人公の身が危険に晒されるのはパキスタンですが、テロリストより村人との交流が多かったり、テロ集団の中には元インド人が居たりと、パキスタンに悪いイメージを植え付けようとする意図はありませんでした。また、映画の結末よりそれまでの話に重要なメッセージが込められていました。

ボリウッドファンに限らず、あらゆる映画好きの方に観てほしい1本です。

 

リンク

「Uljhi Uljhi」

 

映画大好き映画ならではの個性的なプロモーション動画があるよ