2021年公開
出演:ヨーギ・バーブ
シーラー・ラージクマール
サンギリ・ムルガン
G.M.スンダル
カンナー・ラヴィ
監督:マドーン・アルヴィン
言語:タミル語+英語字幕
時間:140分
媒体:ネット配信(Netflix)
あらすじ
スーラングディという名前の、トイレもないくらいの小さな村。村は2カ月後に選挙を控えていたが、首長(サンギリ・ムルガン)は突然麻痺を抱えてしまい、首長の2人の息子ラトナム(G.M.スンダル)とマディ(カンナー・ラヴィ)が立候補することになった。この2人の息子たちはカーストの違う異母兄弟で日頃から対立しており、村は南部と北部で分断が起きていた。選挙で対立は深まり、村は彼らの選挙活動に振り回されることとなるが、顕著だったのが賄賂や優遇といった不正だった。そしてお互い支持者を集めていった結果、なんと得票しそうな数がぴったり一致してしまう。
ちょうどその時、元々南北どちらの立場でもない床屋の"マンデラ"(ヨーギ・バーブ)が人生で初めて行政手続きを行い身分証明書を得ていた。と同時に彼も選挙権を得る。彼がどちらの側に投票するかで命運が分かれることを知った人々は、今までとうってかわって彼を過剰にもてなすようになる。それによってマンデラの生活がガラリと変わってしまい…。
いろいろ
亡き父親も床屋で、サロンを開くことを夢見るマンデラ。マンデラという名は聞き覚えのある通り"ネルソン・マンデラ"から拝借されています。元々は別の名前があったようですが、村人から色々なあだ名で呼ばれているうちに彼自身が本名を忘れてしまっていました。今まではそれでも生きていけたのですが、預金口座を作ろうとしたところアーダールカードなど行政が発行した身分証明書が必要になり、そんな手続きもしたことがない彼が改めて本名を決め、マンデラとして手続きをして身分証明書を得た…というのが既に大人になった彼が今更選挙権を得た経緯でした。
マンデラはのんきに生きてるのであまり落ち込んだりマイナスな発言をするような自己否定はないけれども、村人たちに尊重されてこなかったせいで、自分の社会的立ち位置はその程度だということに不思議にも思わないので、見下してくる人のために働くことはしなくていいことや自分の権利を要求していいと言われてもあまりピンと来ていない感じでした。自己肯定感が低いことを自覚すらしてない?自分の人間としての価値が低くて当たり前と思っている感じ…?
そんななのでもちろん彼にあまり学がなく、文字は読めないし選挙なんて仕組みすらよくわかってない状況ですが、選挙の権利だけはあるので立候補者たちがこぞって彼の票を得ようと暴走を始めるわけで。"マンデラ"とい名前を得て自主性を培っていくのかと思いきや、急に得てしまった重すぎる一票のせいで理性的に考える間もなく自分を見失ってしまう…というところがコメディタッチで描かれています。
ほぼすべて村の中で完結している話。スター俳優ならどんな場所であろうと逆に選挙に立候補しちゃうような大きな話になると思うんだけど、バブちゃんだと巻き込まれ体質というか、大物すぎないのでどう転がっても一市民にとどまるレベルなのがちょうどいいというか。そこがよかったな~。鑑賞前は、村人たちに神輿のように持ち上げられたバブちゃんが選挙を引っ張っていく話とか立候補とかやるんかなって観る前は思ってたんだけど、そういう持ち上げられ方はなかったな。小さい話の方が感情移入しやすい。自分だって同じ状況なら賄賂も享受しちゃうと思うんだよな…人間て弱いもん。
マンデラはただ教養がないことを原因として損したり判断が稚拙だったりするのみですが、教育は受けてそうな立場なのに思慮が浅くアホなことばっかりやっている立候補者2人や、血の気多くて無意味な争いをしている派閥メンバーなどがいます。そんな人たちに呆れつつ、笑いつつ、当事者として振り回されるのは嫌だなと思いつつ村の顛末を観察するのが楽しかったです。小さな村の話だけど"社会"が詰まっていてとても良かった。
ヨギバブちゃんの主演作(計5本くらい)の中でこの映画が一番クオリティ高くて面白いと思います。社会的意義という真面目なテーマにしているところも重要度高め。バブちゃんも十分堪能できるので、バブちゃんファンにはかなりオススメです。
リンク
ダンスとかはないです
「Yela Yelo」
振り返ってしっくりくる名前を探す会 ※バブちゃんはアジット・クマールのファンです
メイキング