2021年公開
出演:ダヌシュ
ラール
ラージシャー・ヴィジャヤン
ヨーギ・バーブ
監督:マーリ・セルヴァラージ
言語:タミル語+英語字幕
時間:2時間36分
媒体:ネット配信(米Amazon Prime)
あらすじ
隣接するメールール村とのいざこざが絶えないポディヤンクラム村。バス停は隣村にしか作られず、村民は不便を強いられていた。メールールの方がポディヤンクラムより力を持っており、男性も女性も嫌がらせに遭うことが少なくなかった。村民たちは自分たちの村にもバス停を作ってほしいと働きかけるが、努力むなしく、メールールの息のかかった行政に願いは届かなった。ポディヤンクラムで多くは抵抗せず平和にやり過ごそうとする人々だったが、ポディヤンクラムの若者カルナン(ダヌシュ)他数人は強く暴力で抵抗しようとして…
いろいろ
凄まじかった。あまり説明のないショッキングなシーンから物語が始まります。
終始笑いが一切なかったです。
力を持たなず虐げられていた村人たちが、より有力な近隣住民や警察と争うお話です。
どのくらいシリアスだったかもうちょっと説明すると、コメディ俳優ヨーギ・バーブも出演する本作において彼のコメディシーンが一切なかったというところが分かりやすいかと。『僕の名はパリエルム・ペルマール』にも出演するヨーギ・バーブは、シリアスな『僕の名はパリエルム・ペルマール』ですらコメディリリーフの側面があったのに、それよりもさらにシリアスでした。
ちなみに『Karnan』と『僕の名はパリエルム・ペルマール』は同じ監督です。舞台となる村の置かれている環境やテーマに共通点が見られます。一方で『Karnan』はダヌシュ主演『Asuran』との共通点も見られます。
本作のストーリーのベースとなったのは、タミル南部にあるコディヤングラム村で実際に起きた警察による襲撃事件。1995年にあった事件で、『Karnan』の舞台も主に1995年でした。携帯電話が普及してなかった頃ですね。
ちなみに監督によると、映画はあくまでもフィクションであり、事実そのものをそのまま描くつもりはないそうです。
観た個人としては一般層に向けた社会派映画という印象でした。(普通の社会派映画は知識人向けとなってしまい一般層にはあまり届かないのを前提として)
私はあまり事前情報を入れてなかったので、画像に入っていた剣と馬とお面とを見て、ファンタジーを盛り込んだ『Aayirathil Oruvan』の雰囲気な映画かなーって思ってたんが、実際はガチ現代リアル志向でした。
カルナンの履いてるルンギがファッション性高いです。よくある無地とかチェック柄とかではなく、なんとなくエッジが効いたデザイン。色とか柄にいくつかパターンがあるみたいです。辛いストーリーの中でルンギがちょっと息抜きになりました。この柄は確認できた限りカルナンだけ着てたんだけど、なにか意味を持つ伝統柄だったりするのだろうか?
題材が題材なだけあり、日本語字幕か、背景の解説が欲しいくらいの難易度がありました。タミル・ナードゥに暮らすメイン観客には大丈夫そうではありますが、我ら専門家でもない外国人にはちょっと難しいかも。
比喩的シーンが多く、ロバ・ワシ・蛾・ミミズといった動物や、女の子が被るお面の映像が節目で出てきます。意味がなんとなくわかるところと、なぜこれなんだろうというところがありました。あとお面自体に意味があるのか(例えば使われているのは幽霊の役のお面だったり?)とか。行間を読み取るところも比較的多いかも。「これは何?」「あれは何?」が色々出てくるからマジで上映後に詳しい人のトークショーあってほしいやつですわ。
女の子たちが顔含め雰囲気が似ていて、ヒロインなのか妹(or姉)なのかすぐ判断できない部分もあり。普段はオッサンたちの見分けがつかないのよな。女の子の雰囲気は村に合わせて地味目に寄せたところあると思います。
カルナンはじめ数人は暴力による抵抗を図るので犯罪行為に値することもやるんですが、それでいても村人に対する警察その他の理不尽な態度はしんどいものでした。神の名がついているだけで言いがかりをつけられるのなんなの…神や王と同じ名前を持つ人なんぞありふれているだろうに。
暴力で抵抗するのがいいのか、逆に圧力を受けても抵抗せず我慢するのがいいのか、どちらにも100%納得できる答えは出ず決められない思いが残りました。最後に人々が踊るシーンがありますが、彼らの人生とあらゆる複雑な感情がこもっていて、泣かずにはいられない瞬間でした。
リンク
曲はBGMに合わせてストーリーが少し進むという使われ方が多かったかな
「Uttaradheeenga Yeppov」”諦めないで”
フォークソングっぽい他の曲と雰囲気異なる一曲。歌うのは最近「Enjoy Enjaami」がヒットしたDheeで、本作の音楽担当サントーシュ・ナーラーヤンの継娘。
「Thattaan Thattaan」
「Kandaa Vara Sollunga」