2020年公開
出演:アミターブ・バッチャン
アーユシュマーン・クラーナー
ヴィジャイ・ラーズ
監督:シュージート・サルカール
言語:ヒンディー語+英語字幕
時間:124分
媒体:ネット配信(米アマゾンプライムビデオ)
あらすじ
ラクナウにある邸宅の家主ミルザー(アミターブ・バッチャン)は貪欲な男。厳密に言えば邸宅の権利者はミルザーの歳上の妻だったが、健康状態がよくない妻に代わって管理はミルザーを行っていた。ミルザーは、近いうちに死ぬであろう妻に代わり、自分自身が所有するものとして邸宅を手に入れようとしていた。
邸宅に暮らす借主のバーンキー(アーユシュマーン・クラーナー)は小麦工場で働いていたが、あまりいい状況とは言えず数か月分の支払いを滞納していた。ミルザーはそんなバーンキー会うたび小言を言い、またバーンキーに支払い能力があると踏んで賃貸料を上げようとするが、バーンキーはそんな家主にフラストレーションを溜めていた。
ある日、敷地にある共同トイレの順番待ちに耐えられなくなったバーンキーがトイレの壁を蹴ってしまったところ、レンガ造りの壁はいとも簡単に崩れ落ちる。すかさずミルザーは修理を要求するが、バーンキーは脆すぎる壁が悪いとそれを拒否する。その流れで警察沙汰にもなるが、そんないざこざを傍で聞いている謎の男が彼らの前に現れる。そして、事態はだんだん家主と借主の争いだけではなく周囲も加わり大ごとになっていき…。
いろいろ
コロナの影響で劇場公開が叶わず、配信で公開となった最新映画です。
ウッタル・プラデーシュ州の州都ラクナウを舞台にした社会風刺コメディ。
会話が中心だし字幕の英単語がちょっと難しくて最初はちょっととっつきにくかったけど、最後まで観たら面白かった!この映画では想定してなかったけど、少しスカッとする感覚すらあります。難しいのはちょっと住宅権利の法律とか出てくるあたりですかね…。
タイトル『Gulabo Sitabo』は冒頭に出てくる人形劇に由来して、互いに仲が悪い個人の名前…「トムとジェリー」みたいな感じ?これがおそらくそのままミルザーとバーンキーの対立に当てはまるはず…なんだけど、最初はミルザーとバーンキーの争いっぽい感じだったのが、邸宅が100年を超える古い建物だったことから考古学者が土足で参加したり、ミルザーが借主を追い出すために弁護士を雇おうとしてきたり、だんだん人が割り込んできて混沌としてくるのが面白いです。
邸宅だけにとどまらず古都ラクナウらしくファンタジーレベルに古い町並みや重厚な歴史的建築物が色々映されて、「ラクナウ行きたい!」と思ってしまう映画でした。イスラムの影響が色濃くあるあの辺りでは街中の看板にナーガリー文字と並んでウルドゥー文字が併記されているのが好きです。
印象的な場所として、カイサル・バーグ(Qaisar Bagh)の西門?が幾度となく登場。冒頭もそうだし、ミルザーがサイクルリキシャー強奪したり”ベッド移動事件”が起きるのもココ。ベッド移動事件は観たらどこのことかわかるから楽しみにしてほしいんだけど、めっちゃ笑いました。動揺するあの人の反応がもはやコントでしたw
↓ロケ地確認してたら見つけたカイサル・バーグ観光記事。リンクが残ってる限り参考にしたい
日本の便利な生活に慣れてると住むにはちょっと辛そうだな~と思っちゃう邸宅も含め、めちゃめちゃ雰囲気があって素敵でした。そんな場所なら、普通に暮らしてたら家が歴史的建造物扱いされるの割とありえそうな話だなと思ってしまう…。
さっきから写真貼ってるけどアミターブ爺演じるミルザーがね、大きなつけ鼻とレンズで大きくなった目が強いビジュアル。強烈。漫画みたいよね。ディズニーアニメにいそう。この人がいきなり魔法使っても驚かないぞ私は。
このおじいちゃんクセが強くて好かれるような性格してないし実際近くにいたら超~~~~~メンドクサイ人なんだろうな~って思うんだけど、「はわわ」って慌てたりうっかりミスが多かったりして遠くから眺めてる分には可愛かったw
モデルがいるっていううわさの記事があって(本当なのかよくわからなかったからリンク貼らないけど)、写真みたらモデルの人とめっちゃ似てたw
アーユシュマーンは都会っ子も田舎っぺも演じられる人で、今回はどちらかというと田舎っぺ。っていうか年齢に対して結構もっさりした感じを出した…?父親が早くに死んで苦労してて見た目に気を配る余裕もなかったのかな~って感じの男性でした。お腹出てた。アーユシュマーン鍛えてるはずだから普通にしてたらあんなにお腹出ないはず…多分。喋り方もいつもの感じではあるけど若干訛ってたかな~(言語面は詳しくないからわからん!発音の雰囲気でそういう役作りかなって思った!) 流行りのキメキメヘアスタイルじゃなくてもっさりしてるこの頭結構好きやで!
なかなかのやり手だと思ったのが、バーンキーの妹で学校を卒業したばかりのグッドゥ。年上の男ばかりの中でも恐れず自らの主張をどんどん通していくタイプで、グッドゥがガツガツしてて逆に兄ちゃん影薄くない?って思うくらいのシーンもあった。譲らないけど頑固でもなく、納得できればあっさり意外な人物と手を組む柔軟さもあったり。強いなキミ。いいぞ。
ラクナウの街の雰囲気とそこで暮らす良くも悪くも人間らしい人たちのドラマです。最後まで観たらこの映画が何を映し出したかったのかわかると思います。そういう点ではけっこうはっきりしていて面白いコメディでした。
リンク
予告
ルーミー門の前で撮影
「Madari ka Bandar」