インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Anek(幾多)

2022年公開

出演:アーユシュマーン・クラーナー

   アンドレア・ケヴィチューサ

   クムド・ミシュラー

   マノージ・パーフワー

監督:アヌバヴ・シンハー

言語:ヒンディー語+英語字幕

時間:147分

媒体:スクリーン(キネカ大森)

 

あらすじ

インド政府は北東部地域最大の過激派グループのリーダー タイガー・サンガとの和平協定を推し進めていたが、同地域には一枚岩ではなく、タイガー・サンガと同程度に危険な過激組織がいくつも存在していた。特にその一つに、ジョンソンという人物がリーダーを務めるグループが和平協定の妨げになるとして政府は圧力を掛けようとしていたが、なかなかジョンソンの実態を掴めずにいた。そのための特命を受けた身分秘匿捜査員のアマン(アーユシュマーン・クラーナー)はジョシュアというキリスト教系の偽名を使い北東地域の村に溶け込み、密かに調査をしていた。

アマンは、学校教師のワンナオがジョンソンの正体ではないかという疑いを持っていた。証拠を掴むため、彼の娘で女子ボクシング選手のアイド(アンドレア・ケヴィチューサ)に近付き、彼女から信頼を得ながら組織に近付いていった。しかし村で調査を続けるうち、状況に疑問を持ち始める。

 

いろいろ

インド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州、アッサム州、メーガーラヤ州、マニプル州、ミゾラム州、ナガランド州、トリプラ州からなる7姉妹州がインドで置かれている状況とそこに暮らす人たちの苦しみを題材にしたアクションスリラーです。

何をもってインド人とするのか?

インドに住んでいれば?見た目がインド風だったら?

ヒンディー語が上手に話せたら北インド人なのか?

インドの大半が無視する北東インド諸州に住む人々は、果たしてインド人として堂々と生きることができているのか?

そんな風に、主観的な「ジャイヒンド」を掲げる"普通の"インド人に向けて痛烈な疑問を投げかけ、一つの答えを出す、そんな映画でした。

もしかしたら、インド人に「7姉妹州の社会問題に気づけよ」ってメッセージもあるかもしれない

 

 

…しかしまあそんな偉そうな感じのこと書いておいてなんですが、だいぶ難しかった…。観終わったあととざっくりあらすじでなんとか理解はできたけれども、鑑賞中は結構何やってるかわからないまま必死に付いていくままで、正直面白いかどうか判断するレベルに達することができなかった。ほとんどを理解したうえで面白くない可能性もある…ね。

見えない敵と戦う襲撃シーンが特に意味が分からなかったし。

うーん、「ここがよかった」って言えるところがあればOKって感じでもいいかなぁ。それだったらOKな映画です。

ヒンディー語or英語or北東インドに精通していれば理解の助けになりますが、どれらも芳しくないな場合はやや厳しいかも。私は北東インドの状況を取り扱った他のインド映画いくつかでやんわり把握してましたが、人に説明できるほど詳しいってわけでもないので、「だいたいこうなんだろうな」って補完しながらギリギリ踏ん張って観てました。映画で得た知識が他の映画で役に立つときがある…

アーユシュマーンとアヌバヴ監督コンビの『Article 15』も同じく難しかった記憶。

 

 

アイド役のアンドレアは北東インドのナガランド出身のモデルさんで、本作が俳優デビュー。

他にも色々北東インド出身の方が出てきました。しかしちょっとネット情報が足りなくてそれ以上はわからんっ!ヒンディー映画界ではさくっと集まりそうなほど北東インド出身の人活躍してるイメージないし、スタッフが頑張って集めてきたのかなぁ。

 

 

過激派組織だけでなく、平和的に過ごしたい希望を持ち暴力とは距離を置く一般庶民、スポーツで成績を残すことを通して自身のアイデンティティをインドに認めてもらいたいと願うアイドなど、ひとくちに北東インドの住人と言ってもさまざまな考え・立場を持つ人達を出したところが、そう単純な問題ではない北東インドの問題を浮き彫りにしたかったのかなぁ、と思いました。

誰かにとっての平和は誰かにとっての戦争であり、

誰かにとっての勝利は誰かにとっての敗北。

 

リンク

さすがにアーユシュマーンが陽気に歌って踊るシーンはない。

 

予告

 

「Voice of ANEK」プロモ用の映像と映画のシーンが交互に出てきます

 

「OH MAMA」