インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Velaiilla Pattadhari(無職の大卒)

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2014年公開

出演:ダヌシュ

   サムドラカニ

   アマラ・ポール

   サランヤー・ポンヴァンナン

   ヴィヴェーク

監督:ヴェールラージ

言語:タミル語+日本語字幕

時間:133分

媒体:スクリーン(キネカ大森スクリーン1/インディアンムービーウィーク2020)

 

あらすじ

土木工学で大学を卒業したラグヴァラン(ダヌシュ)は、就職戦線からあぶれ、数年間無職だった。弟カールティク(リシケーシュ)はIT企業で働き車を買えるほど稼ぐため家族の誇りだったが、それと比較される彼は、家でお荷物扱いを受けていた。特に父(サムドラカニ)からは事あるごとに小言を言われ続け、親子関係は冷めきっていた。ラグヴァランも怠けていたわけではないが、就職の多くがコネと親の跡継ぎ、残りの1割の枠を一般人が取り合っていたため、ラグヴァランにお鉢が回ってこなかったわけだったが、ラグヴァランはそれでも建築系で就職することにこだわっていたため、面接で落とされる日々が続いていた。

ある日、隣に住むシャーリニ(アマラ・ポール)と外に出掛けていたラグヴァランだったが、その間に家で母(サランヤー・ポンヴァンナン)が倒れてしまい…。

 

いろいろ

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2015年に配信で観たきり感想を書いてなかったんですが(当時は英語字幕で)、今年6年の月日を越えて映画祭上映されたので観に行ってきた記念に書きます。

 

ダヌシュ映画のなかでトップくらいにお気に入りの作品です。

 

 

『Velaiilla Pattadhari』

映画祭邦題『無職の大卒』は元の意味そのまんまですね。インドの公式やファンの間では省略して『VIP』と呼ばれています。VelaiIlla Pattadhariってな感じ。

 

お話は主人公ラグヴァランの成長譚。

大学卒業までしたのに役立たずと言われる主人公と、家族との軋轢と、隣に引っ越してきた女の子との恋愛と、就職(します)後の活躍と…。

序盤のところ、家事手伝いはするけど暇そうにゴロゴロもしてる主人公の姿がダヌシュ似合いすぎる…さすが"インド映画界いち地べたにゴロ寝が似合う男"の称号をほしいままにする役者だ…。

飼ってるワンちゃんにも適当な扱いを受けるラグヴァラン…。無職関係なく犬は何も考えてないだけな気もするが…。一家のヒエラルキーで一番下…。

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弟は新車を買うなか、お金は当たり前に持っておらず愛用の超小型バイクが動かなくて焦るラグヴァラン。この小型バイクわたしも欲しい~!スクーターより軽量でほぼ自転車。あれで近所行くの便利じゃん~!わずかながら燃料使うみたいだけど免許はいらんのかね。

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前半は日常の淡々としたなかクスッとくる場面とか、無職の悲哀にみちたコメディを中心とした作りで、急展開を経て始まる後半は一般人と特権階級との戦いという、1つで2つ映画を観ている感覚でした。2つ分とはいえすごく冗長に感じるものでもなかったので、その辺のバランスはちょうどよかった。前半も後半もどっちも美味しいんだよな。

 

ダヌシュの十八番、腰を下げたガチャガチャダンス!ダヌシュといったらコレですよ~!いっぱい踊ってくれます!

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音楽監督アニルド君を認識したのがこの映画(もしくは『Kaththi』)で、曲がめっちゃ好きなんですよね~。『VIP』の中だったらやっぱり酔っ払いソング2つかな。ぶっちゃけ言うと曲がお気に入りすぎて、この映画の一番好きなところは曲!ってレベルですw

アニルド君も当時主人公の年齢に近いというかむしろアニルド君の方が若いのでは!?っていうくらいで、曲が若くて元気なんですよね。

そういえばダヌシュとアニルドのコンビは人気でDNAって呼ばれてたな。Danush And Anirudh。

タイトルソングを聴くと「ヴぇっらいっらーー!!ぱっただーーりー!!」って叫ぶように歌いたくなっちゃうんですけど、日本語にすると「無職のー!!大卒ーー!!」ってちょっと面白い響きになってしまうww

 

そしてカーチャンよ!

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父と息子の冷え切った関係の間に立って、時に息子を叱り、時に励まして、とにかくイイ母ちゃんだった。

サランヤー・ポンヴァンナンを始めて認識したのもこの映画だったな。

 

6年前初めて観たときにはさほど感じなかった、出来損ないの兄・優秀な弟の図について、台詞がわかるとかなり言及してるのが分かりました。就職できている身近な比較対象が居る故にくすぶってしまっているだけかと思ってたんだけど、結構根が深かった…就職以前に小さな頃からの話も出てきたじゃん…。父子大ゲンカになったときのあの兄弟の差の話はちとつらかったな。「お兄ちゃんでしょ、弟に譲りなさい」っていうレベルを超えた話だったからなー。

でもそれ以外のラグヴァランと父の関係は傍から見てる分にはわりと好き。お互い小言言いあってるだけ、てやつ。父は母と"人を殴らない"という約束をしているので暴力が出ることがないし、代わりに怒鳴るかっていうとそうでもない。ただひたすら嫌味と肩身の狭くなること言うてくるのがほとんど。そして"図々しくあれ"と反抗する息子。まあ確かに気分がいい関係ではないけれども、他のインド映画の不穏な父子関係に比べるとめちゃめちゃ平和だなって思った次第です。

 

 

ここまでほとんど前半の話なんで後半の話もしとこうかな。

晴れて仕事に就いたラグヴァランが、新たな逆境に立ち向かうんだけど、無職の間に得た彼ならではの技量と度胸で立ち向かう。息継ぎなしの捲し立てや、指笛吹きたくなるようなセリフも含め、スカッとする立ち回りを見せてくれます。ホント彼は入り口の就職だけが壮大な壁だったんだよなぁ。就職できずおとなしくせざるを得なかったラグヴァランが、後半で大暴れ!ってイメージです。一般人だから武器振り回してはないですけどねwでも最後の脱ぎ芸は必見です。細マッチョも拝めます。私細い人好きなのでダヌシュのあの筋肉がインド映画界で一番好きな筋肉っす。

 

 

続編出てます。2017年公開。キャラ同じで設定は1作目と続いてます。2作目はカジョールが出てますよん。

どちらかというと1作目の方が出来が良かったかな~。

 

リンク

「Udhungada Sangu」酔っ払いソングその1

 

「What A Karvaad」酔っ払いソングその2

 

「Po Indru Neeyaga」

 

シャウトしたくなるタイトルソング