コロナ禍での映画業界の日雇い労働者の支援のため企画された配信向け作品。そもそも企画段階から劇場公開を目的としてませんでしたが、スタッフその他は映画業界が主軸です。
インドの古典芸術理論(ナヴァ・ラサ=9つの感情表現)をテーマにした9つの短編集。それぞれ1エピソード=1つの感情がテーマです。
1本30分前後(長くて48分)で、全部あわせて5時間程度。一気見しようとしたらけっこうかかりますが1本単位だったら気軽に行けるかな。中身は30分と侮るなかれ、かなり哲学的で凝縮されて濃厚なやつもあります。
本当の敵:慈悲
監督:ビジョーイ・ナンビヤール
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ
レーヴァティ
プラカーシュ・ラージ
アショーク・セルヴァン
こんな感じでシリーズ行きますよ!みたいな初っ端から短編っぽい哲学的なエピソード。あと現実と非現実の境界線があいまいなのも短編作品で定番みある。
92年の夏:笑い
監督:プリヤダルシャン
出演:ヨーギ・バーブ
ネドゥムディ・ヴェーヌ
ラムヤー・ナンヴィーサン
マニクッタン
実話がベースらしいっす。後半のくだりは笑った。コントみたいな感覚で観れる息抜き的エピソード。
プロジェクト・アグニ:驚異
監督:カールティク・ナレーン
出演:アルヴィンド・スワーミ
プラサンナー
サイ・シッダールト
プールナー
結末が好きですね。ジャンル的にはSF?SF難しいと理解しようと脳が忙しくなるので苦手だしこの話もまあまあ難しくて途中は混乱しそうになりましたが本質はそこではなかった件w
パヤサム:嫌悪
監督:ヴァサント
出演:アディティ・バーラン
ローヒニ
デリー・ガネーシュ
爺ちゃん…気持ちはわかるが子供っぽいぞ…いや爺ちゃんだからこそなかなかこういう気持ちに向き合うのは難しいのかと妙に納得できる部分もあり。
平安
監督:カールティク・スッバラージ
出演:ボビー・シンハー
ゴウタム・メノン
マスター・タルン
サナント
これ平安なの…??ゴウタム・メノン監督が演者側にいるの初めて観た。タミル・イーラム解放の虎の軍人さんたちの話なので歴史的背景を知っていたらイメージ膨らみやすいかも。最低限スリランカ内戦が舞台だってことだけ知っといた方がいいかな。
怒り
監督:アルヴィンド・スワーミ
出演:リトヴィカー
スリー・ラーム
ラメーシュ・ティラク
ギータ・カイラーサム
『プロジェクト・アグニ』に出てたアルヴィンド・スワーミが本作で監督デビュー。映像技法を逆手に取ったミスリードを誘うシーン(たまに見るやつ…!)が良かった。2人の抱える怒りの種類は多分違うんだろうな…。裏テーマはジェンダー。
欠落:恐怖
監督:ラディンドラン・R・プラサード
出演:シッダールト
パールヴァティ・ティルヴォットゥ
パーヴェル・ナヴァギータン
ラジェーシュ・バーラチャンドラン
アンム・アヴィラーミ
アラビア文字風のタミル文字フォントがめっちゃオシャレ(ポスターのやつじゃなくてオープニングクレジットで使われてるやつ)。なにそのフォント欲しい。ファンタジーと思わせておいて…現実的なのか非現実的なのか曖昧にするのいいよね。
決断の行方:勇気
監督:サルジュン・KM
出演:アタルヴァー
キショール
アンジャリ
正義って立場が変われば軸も変わるから結局自分で選ぶしかないんだけどもさ。一番結論が曖昧に感じたエピソードかも(悪い意味ではなく)。
音楽家の恋:愛情
監督:ゴウタム・メノン
出演:スーリヤ
プラヤーガー・マールティン
『平安』に出てたゴウタム・メノン監督が監督。ゴウタム・メノン監督み強い~~~!!ロマンチスト。
まとめ
その先を視聴側に委ねる内容(長編映画ならちょうどインターミッションが入るあたり)も多かったけど、それ自体も受け入れられる面白いのもありました。ちょっと前の自分だったら「最後まで見せろや!」って思ってたかもしれんけど最近はちょっと受け入れられるようになってきたのも関係してるかもしれない(=「全員が最後どうなったかまでわからないと絶対モヤモヤする」って人には一部向いてないのもあるかも)
基本的にシリアスなのが多かったですが、メンタルがえぐられるほど救いのないのは意外と少なかったので、わりと観やすい気はします。
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