インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Bhavesh Joshi Superhero(バーヴェシュ・ジョーシー:スーパーヒーロー)

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2018年公開

出演:ハルシュワルダン・カプール

   プリヤーンシュ・パインユーリー

   アーシーシュ・ヴェルマー

監督:ヴィクラマーディティヤ・モートーワーニー

言語:ヒンディー語+英語字幕

時間:153分

媒体:DVD

 

あらすじ

シクことシカンダル・カンナー(ハルシュワルダン・カプール)と友人バーヴェシュ・ジョーシー(プリヤーンシュ・パインユーリー)とラジャト(アーシーシュ・ヴェルマー)らは、溢れる若さを社会活動に費やしていた。彼らは街で蔓延る理不尽な事を取り締まる自警団もどき”インサーフ”を名乗り、動画チャンネルを立ち上げる。彼らはこの行動をきっかけに社会が変わることを期待していた。紙袋を被り顔を隠しゲリラ的に活動することは彼らにとって半ば遊びのようなものだったが、チャンネルはある程度の人気を得た。

それから5年、シクはIT企業で退屈な生活を送っていた。あれほどエネルギーを費やしていた動画チャンネルはもう彼の中で終わったことになっていて、今度予定しているアメリカへの転勤で頭がいっぱいになっていた。しかし一方でバーヴェシュは、自分たちの活動によってインド社会が良くなることを諦めておらず、未だインサーフとしての活動にこだわっていた。思いの違いが、いつの間にか彼らの間に溝を作っていた。

バーヴェシュはとある男性からインサーフ宛てのメールを受け取る。男性が住む地域では水の供給問題が発生していて、警察もメディアも取り合ってくれないため助けてほしいというメッセージだった。バーヴェシュが単独で調査したところ、公共の給水管から密かに水が搾取されていることが分かった。また、ただの違法搾取ではなく、公的機関の人物も関わっていることも同時に判明する。バーヴェシュはこの汚職が絡んだ事件をチャンネルで暴露するが、裏に潜んでいたマフィアに目をつけられてしまう。

シクはアメリカ転勤のためパスポートを準備しようとするが、なかなかうまく事が進まなかった。最終的に賄賂を使ってパスポートを手に入れるが、そのことを知ったバーヴェシュが不正に屈したと怒りを露わにする。しかし自分一人の力ではどうにもできない社会に心が折れかけていたシクはこれに同意できず、2人は大ゲンカをしてしまう。そしてシクは世間に対し物言いをするバーヴェシュを撮った動画をチャンネルにアップしてしまう。翌朝、反国家的だと非難されたバーヴェシュは市民からリンチを受け、病院送りになってしまう。

シクとバーヴェシュは一応の仲直りをするが、ギクシャクしたままだった。バーヴェシュは解決していない水問題をさらに追うため、水を盗んでいるタンクがある処理場に侵入し録画を始める。しかしそこで組織の人間に見つかり、事故死にみせかけて殺されてしまう。

バーヴェシュの死にショックを受けるシクとラジャト。前日警察からインサーフの活動について警告を受けていたシクはこれが事故死ではないと理解し、バーヴェシュの追っていた事件を自ら追い始める。バーヴェシュが殺された証拠を掴んだシクは処理場を襲い自らをバーヴェシュ・ジョーシーと名乗り、組織に宣戦布告をするが…。

 

いろいろ

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ちょっとインドのスーパーヒーロー映画特集しようかなと思って買った映画です。スーパーヒーロー映画特集するかは今のところ先行き不透明ですが、機会があったらまとめたいと思います。まだ観ないといけないのがそこそこ残ってるから時間かかる

特集しようと思うくらいにはスーパーヒーローものが好きなので、レビューは好きスイッチが入って妙なテンションです。そこのところお許しください。

 

タイトルにがっつりとスーパーヒーローって入ってますが、割とリアル路線。スーパーヒーロージャンルというよりは、ビジランテものです。

バンド・デシネにありそう。もしくはヨーロッパが作るヒーロー映画にありそう。アメリカもリアル路線のヒーロー映画作るときあるからそういうのも近そう。

リアル路線な点は、主人公たちが特に超人的能力や技術を持っていないことや、あくまで生活の延長線上に活動があったり、深入りすればするほど社会から切り離されていくことだったり。その点では、スーパーヒーローとしても、インド映画の枠としてもリアル寄りかもしれませんね。インド映画だったらスーパーヒーローじゃなくてもかなり派手に敵を蹴散らしていきますからね。そもそも"スーパー"ヒーローなのか?という立ち止まりはありますが、スーパーヒーローって全然超人的能力を持ってない人でも名乗れるわりと緩い定義なので、間違ってはないと思います。

老若男女すべてに好かれようと思って作ってはないと思います。おそらく主人公に近い年代の若い人向けかな?20代くらいの。

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主人公は決して清廉潔白ではないです。まあこれ自体は有名なヒーローものでも清廉潔白なキャラクターは多くはないですが。彼自身、一度は社会の体制に吞まれ諦め、賄賂を差し出すという形で腐敗に手を貸すことをしています。友人を失うまで、自身の生活にいっぱいいっぱいで正義感は無くしていました。友人が成し遂げられないまま死んだことをきっかけに、主人公は友人の遺志を継いで正義の代弁者として立ち上がり、相手が折れるか自分が折れるかまでの闘いに足を踏み入れようとします。本作はこの立ち上がりは静かではありながらもヒーローの成り立ちとしての基本はしっかりなぞっていて、この辺はスーパーヒーローらしいなと感じるところでした。

 

この監督の作品偶然だけど全部観てたわ(まあまだ4本だしな)。若者の感情が淡々でも確かに湧き上がってくるところが監督作品で共通してるなぁと思いました。

 

主演のハルシュワルダン・カプールはアニル・カプールの息子でソーナム・カプールの弟という有名映画ファミリーの出身ですが、なかなかキャリア順調とは言えないようです。本作で初めて観たけど、悪いようには見えないんだけど何がダメだったんだろうなぁ。良く言って真面目?いっそ、"俺のための映画!俺フューチャー!"みたいなスター映画撮っちゃってもいいかもしれないw(今ボリウッドは反縁故主義が席巻しててそういうの作るタイミングはよろしくないけども)

 

ヒーローデザイン割と好きです。アンチヒーロー寄り。デザインはビジランテ風味が強いなぁ。

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子供と大人の間くらいのタイミングでこういうの好きな年頃通った記憶あるわ。

顔を隠すマスク以外はちょっと動きやすいって程度の服装かな?服の内側に何か仕掛けくらい入れてたかもだけど。

理系の知識が要りそうだけど個人で作るような改造が基本なので、超化学とか時代先取りギミックのようなアイテムは出てきませんでした。バイクも改造が基本。そこもわりとリアル寄り。でもこの話の場合その範囲の技術で収めるのが一番しっくりくると思います。

 

本作のタイトルになっている役名"Bhavesh Joshi"は、お分かりの通り主人公の名前ではありません。主人公がインスパイアされた友人の名前です。ストーリーを知れば納得のタイトルだけど、主人公の名前じゃないのって珍しいですね。本作の重要なカギを握るバーヴェシュ・ジョーシー役は、『タイラー・レイク -命の奪還-』にバングラデシュの麻薬王として出演したプリヤーンシュ・パインユーリーが担当しています。

 

 

主人公に空手を教える東アジア系のお顔した人が気になった。中国系かな~?画像が見つからなかった

マーシャルアーツが絡んでるんですが、そこにスタッフとして『燃えよスーリヤ!!』のサムライくんことプラティーク・パルマールが関わっていました。おお、一見関係なさそうな映画がなんか裏で繋がってる感がゾクゾクする。関係ないけど燃えよスーリヤ!!DVD出てくれ…

 

『Bhavesh Joshi Superhero』は興行的にポシャっちゃったみたいなんですが、私は結構好きです。スーパーヒーローって付いてる時点で甘口評価してしまうのは否定しないけど(笑)。こういうの好きな人一定数いると思うな~。

 

リンク

「Chavanprash」アルジュン・カプールがゲストに出てますが本編には使われてないです。プロモ用かな。曲は本編に使われてたと思う。

 

「Qasam Kha Li」ノスタルジック

 

「Hum Hain Insaaf」書き忘れてたけどインサーフ(Insaaf/इन्साफ)は正義って意味です

 

おまけ

フィギュア出てたんですね、ヒーロー映画だ