インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

インドの仕置人

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1996年公開

出演:カマル・ハーサン

   マニーシャ・コイララ

   ウルミラー・マートーンドカル

監督:S.シャンカル

時間:185分

言語:ヒンディー語+日本語字幕

媒体:DVD

 

あらすじ

自動車検査員を目指すチャンドゥ(カマル・ハーサン)は、今は書類申請のブローカーをしながらスワプナ(ウルミラー・マートーンドカル)の家の手伝いをしていた。スワプナの両親に気に入れられれば、検査員の便宜を図ってもらえるという算段だった。

一方、町では役人が被害者となる連続殺人事件が起きていた。犯人は証拠をほとんど残さなかったため犯人像にまでたどり着いていなかったが、手口が同一なため同一人物の仕業であるということまでは判明していた。また、被害者は共通して賄賂で私腹を肥やしていた人たちだった。

チャンドゥは苦労の末、やっとのことで自動車検査員の職に就く。しかし、彼には険しい運命が待ち構えていて…。

 

いろいろ

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しれっと凄まじい話でしたね…!

シャンカル監督って、凄まじい話をパワーで見せてくるところあるよね!『ロボット』は大筋も小エピソードも凄まじいところあったし、凄まじさが薄れるほど力押しな映像だったし…w

『インドの仕置人』は序盤はわりと普通なんですが、クライマックスがよくよく考えたら(考えなくても?)シビアかつ壮絶な展開…なんだろう、見方によってはもはや悲劇だった。 

 

本作は、自警団もの(自警団といいつつ1人ですが)、親子もの、1人2役もの、といったところです。

本作の自警団は、賄賂を要求して誠実な働き方をしない役人たちが、インド社会の毒になったとして次々成敗されていきます。インドの人々が立ち上がってイギリス支配から取り戻したインドという国を、不正を働く役人たちが内側から腐らせてしまっているというのが自警団の主張するところ。自警団の部分はリアルに考えるとやってることがやりすぎの域なんだけど、インドって「バカは殺さにゃわからんねぇ」みたいなところあってわりとすぐ殺すよね…。そういう点では割といつものインド映画って感じかな。殺された人の罪はたかが賄賂されど賄賂、自警団の動機は生死に関わるエピソードで説明され、やりすぎな成敗でも確かに理解できなくもないなと思いました。

カマル・ハーサンが普通の見た目の男性と老け顔特殊メイクの老人役をやっています。なんでこの2人を1人でやるかというところは、まず男性と老人の2人が親子という設定があるところと、おそらく物語の主人公は若い男性の方だけど鍵を握る老人の方のキャラクターが強いので、うっかり脇役を老人にすると主人公を食ってしまうというか、若い男性の役をスターがやっても霞んでしまいかねない…というところでよく使われるパターンかと思います。(『24』もこのパターン)

 

自警団ものってなんでこうシリアスなんだろう…ってちょっと考えてみたら、確かに公的な活動じゃない=警察は追わざるを得ない=自警団に待っているのは逮捕か死か、という展開が多くて、そりゃ確かに真面目なドラマになるよなぁ~って思いました。人々の願望の形(悪いモノを成敗してくれる理想の存在)とリアル(こういった殺しをやると正義感だとしても逮捕される)の両端…。アメリカンヒーロー集団『アベンジャーズ』ですら公的機関じゃなくなったら拘束対象だったしな。

 

というところまで書いたところで、この映画の話は暗いやつなんかと思わせてしまってそうなので説明させてもらいたいんですが、

ともすればヘビーになりすぎる話を、本作は1996年という絶妙に古い時代×シャンカル監督×インドというところでアクションと予想つかない展開が待っていて、「これ面白いかもっ!」と思わせてしまうパワーがある映画です。この時代のアクションて、めちゃめちゃ自由だよね…今のアクションはカッコいいって感じだけど次元が別物だよねw

 

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マニーシャ・コイララがめちゃめちゃ可愛かったです。主に怒ってる顔が多かったけどそれでも可愛かった~。

今でも十分美人だけど、このころは伝説級に美人さんですね。

サブヒロインのウルミラーは、当て馬感が凄かったですw

 

 

だいぶ古くなってしまった映画ですが、まだDVD探せば見つけられるので、興味があったら是非観てみてください~

ちなみに、長い時を経て続編が公開されるそうです~。ただいま撮影中かな?主演は変わらずカマル・ハーサン。この話の続きでいくのか、繋がりのない話にするのか、はたまたセルフリメイクでいくのか…内容が気になります。

 

リンク

歌はタミル語版の貼ります

「Maya Machindra」

 

「Akadanu Naanga」ここのだまし絵みたいなやつ、シャンカル監督節を感じる

 

「Pachai Kiligal」