インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Yaariyan(友情)

このブログでは、なるべく色んな映画を分け隔てなく観てほしいなーっていういちファンの気持ちで書いてるので、なるべく映画のオススメな部分とか魅力とか見どころとかに比重を置いて感想を書くスタンス…のつもりです、毎回。ですが、今回は「負の遺産」として後世に残すべきであろう作品を紹介するので、この記事はほぼ全て作品の悪口だけで構成されています。面白い映画だけ知りたい!って方は今のうちにスルーした方がよろしいかと思います。ほんと時間の無駄だから!読んだ後の苦情は受け付けません。

 


 

2019年に出した同人誌『インド映画でちょっと休憩』で書き下ろしたものの再録になります(加筆あり)。

 

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2014年公開

出演:ヒマーンシュ・コーホリー

   ラクル・プリート・シン

   ヴィカス・ヴェルマー

   イヴリン・シャルマー

   グルシャン・グローヴァー

監督:ディヴィヤー・コースラー・クマール

時間:145分

言語:ヒンディー語+日本語字幕

媒体:スクリーン(IFFJ2014)

 

あらすじ

シッキムで大学生活を送っているラクシャ(ヒマーンシュ・コーホリー)は、殉職した陸軍将校の息子であるにもかかわらず、遊ぶことと女の子にしか興味がない怠け者。今日も友人たちと遊びまわり、母親や校長を悩ませていた。
 そんなラクシャが通う大学では、ある問題が浮上していた。それは、オーストラリア人の実業家が、大学の土地を使ったリゾート地を建設する計画を立てていることだった。校長の必死な抗議の末、学生がオーストラリアの学生と五つの競技で戦って勝ち、優秀であることが証明できれば、今後百年間は大学へ土地を貸してもらえることが保障されることになった。校長は、勇気とリーダーシップがあるラクシャ、成績優秀なサローニー(ラクル・プリート・シン)、その他特技を持ったパラディニールジヤーを集め、代表チームを作る。
 最初の三つの競技はアウェーのオーストラリアで行われるため、ラクシャたちは現地へ向かう。偶然にも、オーストラリアにはラクシャの幼馴染で親友のデーブーが留学していた。最初の種目はバンド演奏。ラクシャたちは準備して出番を待つが、オーストラリアチームが歌ったのは、ラクシャたちが準備していた歌だった。ラクシャやデーブーはは歌をパクられたと抗議するが、逆恨みした相手チームにデーブーがリンチされ──。

 

いろいろ

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初めてみたのは、2014年の映画祭でした。それ以前にちらりと映画の存在は知っていたものの、有名スターは出ていなく、また歴史を塗り替えるヒットになったわけでもなかったので、特に日本のファンの間では話題にならず、いつもだったら見逃してしまう作品でした。そう、映画祭さえなければ出会うこともなく、何の罪も知らない無垢な自分で居られたかもしれない…。


基本的につまらないだけの映画だったら、「お話が面白くなかったな」とか、「自分と合わなかったな」で終わって忘れてしまうのが普通かと思います。この映画はそれだけでは終わりませんでした。とにかく製作側の自己満、もしくは「コレ入れときゃウケるだろ」な思惑で構成されたエピソードが並んでいるだけです。そのどれもがテンポ悪く、その間は次のハイライトまでのツナギでしかありません。そのため展開はご都合主義極まりないものでかなり不自然。出てくるギャグもキャラクターも数十年前に使い古されたものばかり。退屈に留まらなくて非常にイライラさせられました。インド映画でコメディー寄りの内容だったらある程度耐性がある私でもついていけませんでした。例えば「感動的に歌うシーンを入れたいからいっちょ一人殺しとくか」で殺されてしまう、使い勝手のいい親友…。そりゃ映画はある程度製作者の作りたいものやニーズに沿ったものだけど、物語の都合で処理されるのが明らかにわかるのって、映画として根本的に負けてません…?たぶんライバル男子グループによるケンカかいじめかリンチ的なやつだったと思う。かわいそうすぎる…。そしてそこで使われる感動的な歌は何故か母親へメッセージ「Meri Maa(僕の母)」。なんでだよ!そこは友人へむけて歌うべきだろ!ほかにも、タイトルの意味が「友情」な割にやってるのは主にパーティーだったり女の子とイチャイチャだったり。学校の存続を背負って猛練習とかチームワークで団結とか殆ど描写なし…。


メインキャラクターの役者の中で今一番活躍してるのは、ヒロインのラクル・プリート・シン。今や本作の中で一番の出世株で、ヒンディーの他に南インド映画でも大スターの相手役をやっています。『Yaariyan』が最初の映画デビューというフレッシュなメンバーの中で、彼女はこれが6本目の出演ということで経験値があり、その辺は安定した演技でした。ストーリー上冴えない格好してる時間が長いけど、それでもかわいかったです。
主人公役のヒマーンシュ・コーホリーも悪い顔じゃないと思います。何故か唇がめっちゃピンクでしたが。どうした?色調補正がおかしかった?あとそうだ、この2人のキスシーンがかなり醜かった!!ベチャ~~~ってしたキスシーン。おまえら下手くそか!!観客の目を汚しにかかるな!!!もうちょいかっこいい感じにキスしてくれ!ほんとこのキスシーンはロマンチックに撮られたシーン史上最も汚かった…。

他のキャラクターは演技が不安定だったり、もう明らかに大根だったり…。フレッシュさが売りな学園ドラマとはいえもうちょっと頑張れないかな~と苦しくなる感じでした。

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(写真左はラクル・プリート・シン、右はヒマーンシュ・コーホリー)


この映画はボリウッド映画界で一番有名な音楽レーベル「Tシリーズ」の製作です。この映画の監督ディヴィヤー・コースラー・クマールは、そのTシリーズの社長の奥さんでこの映画が監督デビュー。ここでちょっと嫌なニオイがするのですが、今回はそれがまんま悪い方向に働きました。七光りとか縁故とかで映画が作られるのは今に始まったことじゃないけど、これはタチが悪かった…。だれか止められる人はいなかったのかな…社長がプロデューサーだったから無理だったのかな…。

散々なものを2時間半観させられた上、とどめのエンドロールが「私監督で~す☆子育てしながら頑張って作ったの☆みんなも楽しんでくれたよね?ウフフ☆」みたいなメイキング。いえね、子育てしながらってところは全く否定する気はないです。それ自体は大変なところお疲れ様でしたって思うのですが(ファラー・カーン監督だって三つ子抱えてらっしゃいますし)でもね、クッソまずい飯のフルコースを散々食べさせられた後、「私がシェフです。どうですか、美味しかったでしょう?」ってドヤって登場してきたら拳の一つや二つお見舞いしたくなりますよ。こちとら「めっちゃ無理…無理なんだけど、でも、最後まで観たら面白いことあるかもしれない…」ってずっと心の中で血ヘド吐きながら、席を立たずエンドロールまで耐えてきたんですよ…。

余談ですがこの監督の作品は監視しないといけないなと思って(誰目線?)、『Sanam Re』のDVDも買ってあります。勇気が出なくてまだ観てない。


 当時、その映画祭の上映作品は全部鑑賞するという自分に課した目標があったんですが、それが無ければ耐えられなかったと思います。ディスクを買って観たのが最初だったら、観終わった瞬間に叩き割っていたかも。そのくらい最後の最後までイライラさせられる映画でした。この映画の功績は、『Yaariyan』を観た後だったらどんな映画も受け入れられる、ってやつですね。この後数年の間に数々のつまんないインド映画観てきましたが、「Yaariyanよりはマシ」で耐えることで生きていけました(笑)。今まで観てきたインド映画で一番つまらなかっただけじゃなくて、生涯ワースト映画。この映画だけは、誰にもオススメしません。もし観たいと思っても、鑑賞は自己責任でお願いします…。

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いや、まぁ、可愛いところもあるんだけどさぁ…


 ちなみに、このページを書くため観直しました。友達とわいわいツッコミ入れながら観たらわりと楽しかったです。深い傷を負いたくない方は誰かと騒げる環境で観るといいかもしれません。私の感想は、なかなか席を立ちづらい劇場での鑑賞とか、誰にも話しかけられない環境とか、休憩なしぶっ通しで再生とかで観たら近いものを得られるかと思います。

 

 

リンク

曲は嫌いじゃないんだけどなーw

「ABCD」

 

「Sunny Sunny」


問題の「Meri Maa」

 

おまけ

インド現地だと受け入れられたけど日本人ファンの間ではかなり物議を醸したという意味では『吹き渡る風に』も同類なんだけど、ヤバさは『Yaariyan』の方が一段上にいる感じです。

「びっくりするほどひどい出来」って言えたのってこれまで日本語字幕がついたやつだけで、そこはやっぱ理解度も関係あるのかな~って思いました。英語字幕で観てつまんなくても、理解度足りてないせいなのかホントにひどい出来なのかいまいちわからんのだよな…。あと一人で観るからこの気持ち自分だけかなって思っちゃう。

あと2作に食い込む勢いでしんどさレベルが高かったのは『ラクシュミー 女神転聖』で、こっちはインドでも酷評されてる。

 

映画祭、この年生涯ベスト10に入る『R...Rajkumar』とか『Raanjhanaa』と並んでこれが上映されたのすごい。

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