インド映画でちょっと休憩

インドに愛を込めて

Maanaadu(政党ラリー)

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2021年公開

出演:シランバラサン

   カルヤーニ・プリヤダルシャン

   S.J.スーリヤ

   S.A.チャンドラセーカル

   Y.G.マヘーンドラン

   プレームジ・アマラン

   カルナーカラン

監督:ヴェンカット・プラブ

言語:タミル語+英語字幕

時間:147分

媒体:スクリーン(イオンシネマ市川妙典)

 

あらすじ

友人の結婚式のためドバイからウーティにやってきたアブドゥル・カーリク(シランバラサン)。実は彼は結婚式の花嫁と友人の駆け落ちの手助けに来ており、式の途中で彼らを連れて逃げ出していく。

しかしその道すがら唐突に現れた男性を撥ねてしまい、彼らは警察に捕まってしまう。ダヌシュコディ(S.J.スーリヤ)らに連れてこられた先は警察署ではなく謎の廃墟だった。警察はアブドゥルを着替えさせ偽の記者IDを持たせる。アブドゥルは言われるがまま、州首相たちが出席する党集会に潜り込む。群衆の中に入っていった彼は、持たされていたカバンの中に入っていた銃で、演説中の州首相を殺すように指示される。脅されながら銃口を州首相に向けるアブドゥル。その瞬間、何者かの手により州首相が凶弾に倒れてしまう。

その場でテロリストとしての濡れ衣を着せられて殺されるアブドゥル。しかし次に目覚めるとそこは今朝降りたはずの飛行機の中で…。

 

いろいろ

2021年ベスト映画が来たかもしれない…

そろそろ年末の足音が聞こえてきて年間ベストもふんわり考えていたこの時に、1位を揺るがすレベルの映画が出てきました。

これだからインド映画はやめられねぇ!!

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ポリティカル・サイエンス・フィクション・アクション・スリラー。詰めすぎ!!お野菜詰め放題か!でもめちゃめちゃ面白い!!

 

ストーリーが純粋に面白いです。

唐突にタイムループの中心に入ってしまった主人公は、気付いたところから最初の失敗を繰り返さないようにと試行錯誤していきます。そしてそのうち、逃げ道を変えたり濡れ衣の被害者を助けるだけでは結局州首相どころか自分や友人たちも守れないと気付くに至ります。すぐ次に始まるループで根本から叩こうと事件の真相に迫っていきますが、それだけでは終わりません。彼はループのルールの全ては理解していなかったことから、とあるミスを犯してしまい、後半はそこを中心にさらに激しい展開を迎えることに…。

 

これだけジャンルを詰め込んでおきながら、ジェットコースター並みのスピード感!スピードが上がると俺たちのテンションも上がる!!ギアが上がっていくのを感じる!!

息するように主人公が死ぬ!まじすぐ死ぬ!死んだ回数ギネス貰えちゃうんじゃない?ってくらい死ぬ!!

こういうタイムループを取り扱うにはやっぱりいろいろ研究されていたのかな?台詞の中で韓国映画『エンドレス 繰り返される悪夢』や『テネット』への言及がありました。確かに『エンドレス 繰り返される悪夢』は飛行機の中で戻ってくるとか似てるね。

 

 

S.J.スーリヤさんナイスキャスティング 途中から大納得。こういうキャラクターやらせたら彼がピカイチなのでは

警官の姿めちゃめちゃカッコイイし…登場は看板スター並みのもったいぶりでしたw

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アブドゥルとダヌシュコディの対決は半分ネタバレの範囲なので言葉にできないんですが… んもう!観てくれたらわかる!!!毎年観たい!!!!!!年越し対決してほしい!!

 

ついでにキャストの話

Jilla』でヴィジャイ演じる主人公に弟いましたやん?マハト・ラーハヴェーンドラくんて言うんですけど、今回交通整理のお兄さんで出てきました。めちゃめちゃちょい役だけども…ループするから台詞量的にはある方なんか?w ヴェンカット・プラブ監督作で『Mankatha』にも出てたし、シランバラサンと友達らしいです。

ちなヴェンカット・プラブ監督作皆勤賞(出演してないときは音楽を担当してる)のプレームジ・アマランはアブドゥルの友人役。独特のオーバーリアクションをやる。なにかな…クセが強い芸人かな…。ヴェンカット・プラブ監督作観るときはどこで出てくるか楽しみな人です。

↓左から、マハト・ラーハヴェーンドラ、シランバラサン、監督、プレームジ

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ポリティカルなところはただ単に州首相の暗殺という箇所ではなく、そもそも裏で警察ほかが手を引いているのに、犯人はムスリムのテロリストに仕立て上げるという、ムスリム=テロリストという理不尽なイメージを利用した手口を使ったところでした。

同じくムスリムの主人公は、州首相が暗殺されてしまうことはもちろんですが、罪のないムスリムを罠に嵌めて偽テロリストを作り上げるという黒幕の思惑を何とか止めようと幾度となく奮闘するわけです。

あとは説教(捲し立てるので字幕を追いかけるので精一杯)が中盤でもお構いなく挟まれてるのもポリティカルだな~って思いました。冒頭で「A Venkat Prabhu Film」ではなく「A Venkat Prabhu Poritics」って出てたの面白かった。

単に政治の話をするのとは違って、エンタメに仕上げてるの好き。

 

 

現地での評判は高く、大ヒットのお知らせも出ていました。間違いなく2021年タミル映画のキーになる1本です。機会があったら是非観てください。日本で一般公開もいける内容だと思うんだけども~!!

 

リンク

予告

 

「Meherezylaa」振り付けがアーダーブ✋

 

ダンスは1曲しかないのでBGMどうぞ

 

おまけ

※自分の頭の整理用メモ

ループの原因と推測される(多分推測で終わってた)、起点ウッジャイン(マディヤ・プラデーシュ州の都市)。そこの伝説の王ヴィクラマーディティヤは「屍鬼二十五話(『ヴィクラムとヴェーダ』のベースになった説話です)にも出てくる人物で、「屍鬼二十五話」のイラスト(白髪の人がおんぶされてる)が一瞬出てきます。ヒンドゥーがベースのお話ですが、ここでちょっとしたいきさつの末産まれたムスリムの主人公がループの起点になるという。

ただちょっとこのループの理由探るシーンは高速だったから部分的にしかわからんかったw

ループが飛行機の中で始まるのは、飛行機がちょうどウッジャインの上空を飛んでいる瞬間だから…だと思います。